充実する投手陣

4月12日の巨人戦で快投を披露した阪神先発の村上
プロ3年目右腕の阪神・
村上頌樹が今季初先発となった4月12日の巨人戦(東京ドーム)で見せた快投は、衝撃だった。7回まで走者を1人も出さない完全投球。降板後に同点に追いつかれたためプロ初白星はお預けとなったが、先発ローテーション入りへ十分に合格点を与えられる内容だった。翌13日の同戦も、先発の
西純矢が要所を締めて6回1失点の粘投で今季初勝利を挙げた。
昨年リーグトップの6完投を飾るなど先発の軸として稼働した左腕・
伊藤将司が左肩の違和感でファーム調整を続けている。だが、その穴を感じさせない。トミー・ジョン手術から昨年夏場に復活した
才木浩人が2試合登板で防御率1.35をマーク。現役ドラフトで
ソフトバンクから移籍した
大竹耕太郎も8日の
ヤクルト戦(甲子園)で、6回3安打無失点に抑えて2020年10月25日
西武戦(PayPayドーム)以来3年ぶりの白星を飾った。そして、先発のチャンスを与えられた村上も首脳陣の期待以上の快投で応えた。
救援陣もセットアッパーの
浜地真澄が5試合登板で防御率14.54と状態が上がらず、登録抹消されたが、左肩の張りで開幕二軍スタートの
岩貞祐太が12日に一軍昇格。今季初登板となった13日の巨人戦(東京ドーム)で7回一死一、二塁のピンチを招いたが、
吉川尚輝を左飛、
丸佳浩を右飛に仕留めて無失点に抑えた。
「投手陣は盤石と言ってよいでしょう。問題は打線です。
佐藤輝明の状態が上がらず、スタメン落ちしましたが、主軸で活躍してもらわなければ困る選手です。確実性が課題の打者ですがそれを気にするあまり、自慢の長打力も影を潜めている。佐藤が復活できるかどうかが、V奪回のカギを握ると思います」(スポーツ紙記者)
「失敗を恐れず大暴れを」

開幕から打撃の調子が上がらない佐藤
昨季は全143試合出場し、打率.264、20本塁打、84打点をマークした佐藤。新人から2年連続20本塁打をマークしたが、本塁打数は新人の24本塁打から減らした。野球評論家の
川口和久氏は週刊ベースボールのコラムで、エールを送っている。
「
糸井嘉男が引退会見で、『もっと練習せい!』とゲキを飛ばしたのが、同じ近大出身で、これも左打ちの佐藤輝明だ。ポテンシャルという面では糸井の後継者と言っていいのだろう。ただ、1年目の佐藤には粗削りだが、ホームランを打つ能力なら糸井を超えるものを感じたが、今年はちょっとこじんまりしている。まだ23歳だ。守りに入ると自分のブレークポイントが見落とすときもある。練習量もそうだが、もっともっと失敗を恐れず大暴れしてほしい。それで超人・糸井を超える……なんと言えばいいんだろう……。編集部の締め切りまでに思いつかなかったんで、ちょっと苦しい言葉になるが、佐藤よ、“超超人・サトテル”になれ!」
打撃不振からの復調を
今年は
岡田彰布監督の助言を受け、打撃フォームの改造に着手。頭上で構えていたバットのグリップを耳の近くまで下げて寝かせ、差し込まれていた打球が目立ったためミートポイントも前に修正した。
オープン戦で試行錯誤を繰り返し、開幕に入ったが低空飛行が続いた。ボール球に手を出して空振りする場面が目立ち、タイミングが合わない。13日の巨人戦で今季初めてスタメン落ちし、7回に代打で登場したが3球三振。14日の
DeNA戦(横浜)は途中出場で2打数1安打だった。
阪神ファンは、長距離砲として類まれな才能を持つ男の復調を待っている。
写真=BBM