「もっとパワーをつけないといけません」

早大の2年生・小澤は立大2回戦でリーグ戦初本塁打を放った
チャンスは自分の力で、つかみ取るものだ。
今春から三塁のレギュラーに定着した
小澤周平(2年・健大高崎高)が立大2回戦でリーグ戦初本塁打。2対3と勝ち越された直後の6回表に、逆転2ランを右翼席へ放った(試合は早大が11対3で勝利)。
小澤は高校通算52本塁打をマークした健大高崎高時代から、フォロースルーの大きい左打者だった。スイング後、バットを飛ばすシーンが絵になる選手なのである。
オープン戦を含めて、大学初アーチ。神宮でもきれいな「振り切り」を見せた。写真の表情から見ても、手応え十分。しかし……。
「打った瞬間、行ったな! とは思いましたが、そんなに飛んでいなくて……。ボールが失速して……。もっとパワーをつけないといけません」
試合後、小澤は苦笑いを浮かべた。
3月上旬の沖縄キャンプの時点で早大・
小宮山悟監督は「スタメンの可能性はゼロだった」と明かす。本職は二塁手。オープン戦終盤に三塁で出場機会を得ると「グラブ(守備)のほうでいける」と、小宮山監督の信頼を得た。
早大は東大、立大に開幕4連勝。小澤は全4試合先発出場で打率.353、1本塁打、7打点と下位打線(七番)を活気づけている。小宮山監督は「代わりに使った選手。お釣りがくるくらいの活躍」と手放しで褒めていた。
早大入学時は「1本でも多く、安打を積み重ねていきたい」と、首位打者を目標に掲げていた。バットコントロールが秀逸。背番号35を着ける「左の三塁手」は、早大の先輩である
茂木栄五郎(現
楽天)を彷彿とさせる。好きな言葉は「一球入魂」。早大の初代監督で「学生野球の父」と言われた飛田穂洲氏が残した教えを胸に秘めて、神宮球場に立つ。
文=岡本朋祐 写真=菅原淳