準決勝は慶応と対戦

横浜隼人高はスタンド、ベンチ、グラウンドが一体となったスタイルが伝統である
横浜隼人高が11年ぶりの4強進出を決めた。4月29日、立花学園高との神奈川県大会準々決勝を8対1で、7回
コールドで勝利した。エース左腕・石橋飛和(3年)が一人で投げ抜いた。
勝因は3つあった。
まずは、大応援である。
横浜隼人高・水
谷哲也監督は試合後「これぞ、神奈川。良いですね!!」と後押ししてくれた三塁側応援席に感謝した。この日はブランバンドが動員され、部員、生徒、父兄、関係者が一丸のある大声援を送った。
「ウチは応援がすべてなので。相手校さんからも『隼人の応援はベンチに刺さりますねえ』と。スタンド、ベンチ、グラウンドも『皆で勝とう!』とやってくれている」(水谷監督)
次にチーム力の結集である。
2年生のレギュラー捕手・山野井寛大が、平塚学園高との4回戦における本塁クロスプレーで負傷。4回戦まで背番号6を着けていた遊撃手・城島悠伸(3年)が背番号2で奮闘。緊急事態ではあったが、水谷監督は「どっしりやってくれた。どんな状況でも、勝ち上がっていかないといけない」と代役を称えた。山野井は登録メンバー25人から外れたものの、記録員としてチームに貢献した。
そして、外せないのが主将・菊地唯仁(3年)のキャプテンシーである。
横浜隼人高は今大会、2回戦から武相高、三浦学苑高、平塚学園高、立花学園高に勝利して、準決勝へ駒を進めた。水谷監督は言う。
「菊地が良いクジを引いてくれました。(準々決勝までに対戦したのは)全部私学。選手たちの自信になっていますし一戦一戦、成長しているのは間違いない。優勝するときというのは、楽に勝てないので、厳しい試合をモノにしていかないといけない。今日の試合も結果的にコールドですが、楽な展開ではありません。試合の入りとか、プレッシャーをかけながら、ゲームを進めていかないといけない。失策をしたら負け。ミスをしないように、と。今日は風が強かったですから、遊撃手の主将・菊地が『冷静にいこう』と声をかけていた。一番、不安だったショートの岩城(匠海、2年)が1回にフライを捕って、第1打席で安打。気持ち的に軽くなったと思います」
準決勝(5月5日)はセンバツ出場の慶応高と対戦する。舞台は夏のメーン会場・横浜スタジアム。春に大きなステージを経験できるのは財産。横浜隼人高の今年のスローガンは「逆襲の隼人 千紫万紅~時代を彩る立役者~」。全員野球で昨秋の準優勝校に立ち向かう。
文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎