いつもどおりの僕で

『つじのじつ話』
6月28日、ベースボール・マガジン社から前
埼玉西武ライオンズ監督、
辻発彦氏著の『つじのじつ話』が発売された。
ユニークなタイトルだが、これは編集部からの提案ではなく、辻さん自身がマネジャーさんと相談して決めたものだ。
今回は書籍の中から、執筆にあたる辻さんの所信表明とも言える「初めに」を抜粋し、紹介してみよう。
ハラハラドキドキの6年でした。
楽しく、トキメキ続けた6年でした。
2022年のシーズンを終え、埼玉西武ライオンズの監督を退任しました。
直後は寂しいような、ホッとしたような複雑な気持ちでしたが、公式戦が始まり、ゲームを見ていると、監督時代と同じような気持ちになり、体が熱くなってきます。
試合中継の解説中はもちろん我慢していますが、CMが流れている時間帯や家でテレビを見ていると、「ああ、何やってんだよ!」「よし、よくやった!」と言葉が出たりしてしまいます。
退任から時間はたちましたが、ずっと思っています。
「ライオンズに戻ってこられて本当によかった」と。
6年間、監督をさせていただき、本当に幸せでした。改めて応援いただいたファンの皆さま、選手をはじめ、コーチ、チームスタッフ、埼玉西武ライオンズに関わる、すべての方々に感謝、感謝です。
僕は器用な男ではありません。これまでの人生のすべてがうまくいったわけでもありません。たくさんの失敗や挫折があり、悩みがあり、回り道もしました。
でも、振り返れば、すべてが糧になり、今につながっています。多くの方に支えられた幸せな男だと改めて思っています。
本のタイトルも説明しましょう。『つじのじつ話』は、漢字を使えば『辻の実話』です。「僕の本当の姿、思いを書いています」という意味を込めてですが、同時に、上から読んでも下から読んでも『つじのじつ』という遊びも入れています。
奇をてらった内容ではありません。僕が現役選手、コーチ、監督、評論家、そして一人の男として、感じたこと、考えていたことをそのまま書いています。
少しでも皆さまの興味を引き、参考になれば幸いです。
僕は、この本の話をもらったとき、こう答えました。
「ありがとうございます! ただ、気取った本は書けませんよ。辻発彦は辻発彦ですから」
いつもどおりの僕でいかせていただきます。
それが皆さまのご想像どおりの僕かどうかは別にして──。