プロ初本塁打もマーク

日本ハムに移籍後、猛打を発揮している郡司
環境が変わって大化けする選手がいる。現役ドラフトで移籍し、先発で7勝1敗、リーグトップの防御率1.13と大活躍の
阪神・
大竹耕太郎、
中日でクリーンアップに定着し、打率.300、10本塁打、46打点と自己最高の成績を残している
細川成也はその代表例だろう。
そして、この男も北の大地で大化けする可能性を秘めている。中日からトレード移籍した日本ハム・
郡司裕也だ。
山本拓実と共に日本ハム・
齋藤綱記、
宇佐見真吾の交換トレードが発表されたのが6月19日。まだ2週間も経っていないが、野球人生が大きく変わろうとしている。
同月30日に一軍昇格すると、同日の
オリックス戦(エスコンF)に「二番・指名打者」でスタメン出場。初回の第1打席で球界を代表する右腕・
山本由伸の154キロ直球を中前にはじき返した。移籍後初打席初安打にベンチは大盛り上がり。その後も7月4日の
ソフトバンク戦(PayPayドーム)で、2回に左腕・
和田毅のチェンジアップをすくい上げると、ライナー性の打球が左翼フェンスを越えてホームランテラスに。中日在籍時には味わえなかったプロ初アーチに、「時間はかかってしまったんですけど、今は新天地でやってやるぞという気持ちで頑張っているので結果になって良かったなと思います」とお立ち台で充実の表情を浮かべた。6試合出場で打率.389、1本塁打、4打点。新たな野球人生で最高のスタートを切った。
将来のチームリーダーとして期待
アマチュア時代は「勝てる捕手」として名をはせた。仙台育英高、慶大で日本一を経験。大学時代は1年秋から「四番・捕手」に座り、4年秋に東京六大学リーグ三冠王に輝いた。大学で主将を務めるなどキャプテンシーにも定評があり、ドラフト4位で入団した際は将来のチームリーダーとしても期待された。
郡司は週刊ベースボールのインタビューで、「ずっとチームを支える捕手になりたいですね。あいつがマスクをかぶって打たれたり負けたりしたら、もうそれは仕方がないと誰にも思ってもらえるような、そういう信頼される捕手になりたいです」と理想の捕手像を語り、「(中学、高校、大学で)日本一になれたのは仲間に恵まれてきたからです。もちろんプロでも日本一になりたい。自分が入って日本一になったら『郡司が入団したからだ』みたいに思ってもらえて自分の価値も上がると思うので(笑)、そこは狙い目だと思っています!」と意気込んでいた。
大きく飛躍する可能性
新人で開幕一軍スタートを切るなど前途洋々に見えたが、なかなか試合に出られなかった。スローイングが課題とされ、正捕手・
木下拓哉の壁が厚かった。持ち味の強打を生かそうと、一塁や外野を守ることも。今季は開幕一軍入りを果たしたが、出場機会がないまま4月13日に登録抹消。5月31日に再昇格したが、出場した試合は6月4日のオリックス戦(バンテリン)の1試合のみで、1週間後にファーム降格した。
他球団の編成担当は、「頭の回転が速い選手だと思います。ファームの打席を見ると、打撃技術が高いことはもちろんですが、相手の配球を読んで狙い澄ましたように打っていた。打撃は一軍でも十分に通用する。実際にウチもトレードで欲しい選手だった。まだ25歳と若いし、大きく飛躍する可能性を秘めている」と高評価を口にする。
日本ハムは
田中正義、
アリエル・マルティネス、
江越大賀ら他球団で伸び悩んでいた選手たちが
新庄剛志監督の下で輝きを放っている。郡司も中日時代に叶わなかった日本一を日本ハムで目指す。
写真=BBM