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【高校野球】合言葉は「同世代には絶対、負けるな」 病床の恩師の教えを胸に東東京制覇を狙う豊南

 

12年ぶりの4回戦進出


豊南高は2011年以来の東東京大会4回戦進出を決めた


 豊南高が東東京大会で12年ぶりの4回戦進出を決めた。巣鴨高との3回戦(7月17日)を10対0。6回コールド(10対0)だった初戦(2回戦)に続き、5回で決着をつけた。

 2019年秋から指揮する豊南高・弓田鋭彦監督は、体調不良のため入院中。責任教師の星重光顧問が、監督代行を務めている。

「同世代には絶対、負けるな」

 2023年夏、豊南高硬式野球部の合言葉である。

「弓田監督が常日頃から、生徒たちに言っていた指示です。投手だった早実、早大での現役時代、これが原動力だったそうです。我々もつないでいます」(星監督代行)

 弓田監督は早大卒業後、日本石油(現ENEOS)でプレー。ユニフォームを脱いでからはマネジャー、副部長として長く同社の野球部強化に尽力。採用担当としても、豊富な人脈を駆使し、優秀な選手を入社させ、常勝チームの礎を築いた。

 60歳を節目に、高校野球へステージを移して以降も、白球への情熱は変わらない。この夏はグラウンドに立てないが、星監督代行によると「試合の映像を見て、メッセージをもらっています」と、弓田監督はゲーム内容を細かくチェックし、現場に助言している。

豊南高の主将・持田は一番・遊撃として、文字通り、攻守でチームを活気づけている


 豊南高の主将・持田洸(3年)は「守備でリズムをつくり、攻撃につなげるのが一つの武器」と胸を張る。花田大和と松江音弥の3年生右腕二人による継投が確立されており、失点が計算できるのが強みだ。主将・持田は「東東京制覇が目標」と、同校初の甲子園出場へ意気込みを見せる。豊南高は1981年夏の東東京大会で決勝に進出したことがある(2年生エース・荒木大輔を擁する早実に1対9で敗退して、準優勝)。まずは、1990年以来の準々決勝進出がターゲットとなる。

 星監督代行は、繰り返し言った。

「目の前の同世代に絶対、負けない。私たちは、勝利を求めて、1試合を積み重ねていくだけ。一つでも多く勝ち、弓田監督に良い報告をしたいです」

 同じ高校生が相手である。豊南高は弓田監督の教えを胸に、臆することなく、真っ向から勝負を挑んでいく。

文=岡本朋祐 写真=BBM
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