強さが出てきたストレート

東京ガス・高橋は川越東高、慶大を経て入社4年目だ[写真=BBM]
第94回都市対抗野球大会は東京ドームで熱戦が展開されている。7月25日の決勝まで、栄光の黒獅子旗をかけた戦いをリポートする。
4日目の第1試合(7月17日)では一昨年に優勝、昨年は準優勝だった東京ガス(東京都)が登場。JR四国(高松市)との1回戦で先発したのは左腕・
高橋佑樹(慶大)だった。
高橋は慶大4年時(2019年)の明治神宮大会で日本一へ導き、東京ガスでも一昨年の都市対抗で優勝に貢献。入社4年目の今季も投手陣の柱として先発を担ってきたが、その支えとなっているのがストレートだ。理想の真っすぐを手に入れるため、ずっとフォームの修正やトレーニングに励んできたという。
「左のお尻が大切だと考えていて、右足を踏み出していくときに左側のお尻で押してあげる。イメージで言うとお尻にえくぼを作る感じなんですが、ただ投げるだけではなくウエートトレーニングもしていくなかで感覚を養っていきました」
その感覚がつかめてきたのは昨年の秋頃。
「球速はあまり変わっていませんが、強さが出てきてストレートで勝負できるようになりました」
6月のJABA北海道大会では予選リーグのロキテクノ富山戦で社会人初の完投勝利。JFE東日本との決勝で敗退したものの、2失点完投。
「これまでは6、7イニングで交代することが多くて『投げるためのスタミナがない』と感じていたのですが、良くなったストレートとずっと得意にしてきたカーブ。そして、チェンジアップもあるので、試合の終盤になってもあせることがなくなりました」
さらに「今季は相手チームの映像を見て、頭と気持ちを整理し、試合中もキャッチャーと対話をしながら投げていました。そして、自分の思ったとおりに投げて、思ったとおりにバッターが反応することが多くなっているように感じています。抑える根拠があって、自信もあったので今シーズンは自分でも旬を迎えていると思えるほどでした」と充実のシーズンを送ってきた。
今季から東京ガスを指揮する松田孝仁監督も「今年は彼が中心」と話しており、大事な都市対抗初戦の先発マウンドを高橋に託したのだった。
29歳のベテランと競って
JR四国との1回戦では走者を許しながらも、得点は許さない粘りのピッチング。両チームともスコアボードにゼロが続く、息詰まる投手戦の主役となった。7回を6安打無失点。
「相手投手が良かったので、先に点を取られないように投げました。今日はいつもより自分の思っている投球ができなかったのですが、ストレートが走っていてチェンジアップも良かった。結果として無失点に抑えられたのは成長したところだと思います」
高橋本人は満足していないようだが、役割は見事に果たしてみせた。
試合は0対0のまま、延長タイブレークへ。東京ガスは11回裏、0対1でサヨナラ負け。初戦敗退を受け、高橋は「『この大会で最後(優勝)まで行く』と思っていたので……」と肩を落とした。それでも「やっぱりエースになりたいので、周りも納得できる結果を残し続けないと」と話し、主戦の座を争うチームメートの右腕・
臼井浩(中央学院大)の名前を挙げた。臼井は21年の都市対抗でMVPに当たる橋戸賞を受賞した29歳のベテランだ。
「臼井さんはピンチを三振で切り抜けていましたが、そこが、自分の足りないところ。自分ができること、できないことをしっかりと考えるところから始めていきたい。これまでは大きく変えようとしてうまくいかなかったので、これからは今の良いところを踏まえつつ、上積みができるようにしていきたい」
さらなる成長を誓った高橋。黒獅子旗をもう一度、取り戻すためにも、自他ともに認める絶対的な主戦投手を目指す。
取材・文=大平明