快進撃が始まったのは7月5日

昨年に続き、球団2度目となる8連勝に導いた石井監督。「みんなの頑張りがすべて」と選手をねぎらった
開幕から低空飛行を続けていたが、7月に入ってようやくの本領発揮。
楽天が7月5日の
オリックス戦(楽天モバイル)から一気の8連勝をマーク。後半戦も勝利を重ね、熱パを盛り上げ、奇跡を起こすことができるか。
8連勝目のヒーローは
小深田大翔だった。「自分で決めようという思いで打席に入りました」。7月13日の
日本ハム戦(エスコンF)、2対2の同点で迎えた9回表、二死一、三塁から
田中正義の真っすぐを中前に運ぶ決勝適時打。その裏、抑えの
松井裕樹が無死一、二塁のピンチをしのぎ、昨年達成した球団記録の11連勝(4月26日~5月10日)以来となる8連勝が決まった。
快進撃が始まったのは7月5日のオリックス戦(楽天モバイル)からだ。前日の同カード(東京ドーム)は先発の
田中将大が初回に一死も奪えずに5失点。7対9で敗れ、借金は今季最大の13まで膨らんだ。しかし地元に戻った5日からオリックスに2連勝、7日からの
ソフトバンク3連戦(楽天モバイル)にも3連勝すると、11日からの日本ハム戦(エスコンF)3連戦もすべて1点差勝利の3タテを食らわした。
8連勝の要因は投打のバランスの良さに尽きるだろう。8連勝中の打率は.284で得点圏打率は.338。序盤戦は好機であと1本が出ず、あれほど歯がゆかった打線が機能した。打線に勢いをつけたのは8年目の
村林一輝だ。6月25日の
西武戦(楽天モバイル)で今季初スタメンを飾ると連日快音を響かせ、8連勝中の得点圏打率は.444。ラッキーボーイのような存在となり、今や攻守でチームに欠かせない大きな戦力だ。
投手陣も安定してきた。8連勝中はわずか15失点で防御率は1.88。7月5日にプロ初勝利を挙げた
荘司康誠から
岸孝之-
則本昂大-
辛島航-
藤井聖-田中将と6試合連続で先発に白星がついた。そしてそれ以上に際立ったのがリリーフ陣の奮投だ。8連勝中は
酒居知史が6試合に登板して1勝4ホールドの防御率1.69、ルーキーの
渡辺翔太も4試合で3ホールドに失点ゼロと好調をキープ。抑えの松井裕も6試合で5セーブの失点ゼロと走者を出しても得点を与えなかった。課題と言われ続けてきた7回、8回の失点を最小限に抑えたことが勝利につながった。
連勝が止まっても連勝

「8」のマークでポーズをとる小深田。8連勝中の得点圏打率は驚異の.615
9連勝も目前だった。7月15日の
ロッテ戦(ZOZOマリン)は8回表を終わって7対4と3点のリード。しかし酒居、
安樂智大の乱調などで逆転負け。それでも
石井一久監督は「ずっと勝ちに貢献してくれたブルペン陣なので」とリリーフ陣を攻めることなく、「ずっと勝つことは不可能なので」と前を向くと、16、17日の同カードで連勝。前半戦終了時点で7月は11勝3敗と貯金8を稼いだ。
もともと戦力はある。高齢化が進んでいるのは事実だが、経験値の高い実力者たちが顔をそろえる。投打の歯車がかみ合えば、後半戦も大型連勝は十分に可能だ。遠くに見えていたクライマックスシリーズ進出、いや10年ぶりの優勝に向け、後半戦から楽天の逆襲が始まる。
写真=BBM