打撃フォームを修正して

三菱自動車岡崎・中村は日大三高、明大を経て入社1年目である[写真=BBM]
第94回都市対抗野球大会は東京ドームで熱戦が展開されている。7月25日の決勝まで、栄光の黒獅子旗をかけた戦いをリポートする。
第8日目(7月21日)の第2試合は三菱自動車岡崎(岡崎市)とSUBARU(太田市)による自動車メーカー同士のライバル対決となったが、勝負を決めたのは新人・
中村奎太(明大)の一振りだった。
1対1の同点で迎えた4回裏。この回の先頭打者として打席に入った中村は甘いストレートを強振。すると、打球はライトスタンドへ飛び込む勝ち越しホームランとなった。
「打った瞬間はフェンスかなと思ったのですが、スタンドに入って最高です。ベンチに帰ってから先輩の皆さんに『よくやった』と言ってもらったのですが、都市対抗の(東海地区二次)予選では迷惑ばかりかけていたので、監督もコーチもみんな喜んでくれてうれしかったです」
中村は日大三高から明大とエリート街道を歩んできた。高校時代は3年時、甲子園に春夏連続出場を果たし、夏はベスト4。明大でも昨秋の明治神宮大会で優勝し、日本一を経験している。しかし、社会人野球の舞台に飛び込んだ今季は相手投手のレベルの高さに戸惑ったという。
「社会人のピッチャーはツーシームやチェンジアップでボールを曲げてくるので簡単にファウルを取られて追い込まれてしまいますし、2ストライクになってからはコースを間違えない。それに、命を懸けて投げている熱さを感じました」
都市対抗東海地区二次予選では5試合に出場するも、わずか1安打に終わった。
「まったく打てず、悔しい思いをしました。それで伊藤祐樹コーチ(福井工大)や、同じ明大出身で左打ちの小室(和弘)さんにバッティング練習を後ろで見てもらってアドバイスをしていただきました」
梶山義彦監督(静岡高)から「右足の地面への着きがが弱いので力が入っていかない」と言われていたこともあって、バッティングフォームを修正。
「右足を強く踏み込み、後ろの左足が前に動いてもいいというくらい体重をかけて打つようにしたんです。ティーバッティングでもなんでも、バットを振るときはいつも意識していました」
「気合を入れていきたい」
こうして迎えた都市対抗の本大会ではセガサミー(東京都)との1回戦で2安打。復調の兆しをつかむと、SUBARUとの2回戦では「オープン戦も含めて社会人1号です」というソロ弾が決勝ホームランとなった。
梶山監督は「中村は思い切りが良い選手。ただ、バッティングはあまり期待していなかったんですけれど、今日は打ってくれましたね」と指揮官にとっては良い意味での想定外の一発がチームを勝利へ導き、9対3でSUBARUを下し、20年ぶりの8強へ進出を決めた。
準々決勝に向けて「チームを勝たせることだけを考えて、何でもやります。気合入れていきたい」とフォア・ザ・チームを強調した中村。社会人野球の最高峰の舞台で泥臭く、食らいついていく。
取材・文=大平明