混戦模様のタイトル争い

打率.319でパ・リーグの首位打者に立つ頓宮
パ・リーグは3連覇を狙う
オリックスが首位を快走。2位の
ロッテが追いかける展開となっている。オリックスは
山本由伸、
宮城大弥、
山下舜平大、
山岡泰輔、
山崎福也と強力先発陣を擁しており、大きく失速するとは考えづらい。ロッテはエース・
佐々木朗希が7月下旬に左脇腹の肉離れで戦線離脱。長期離脱する恐れもあるが、投手陣全員でカバーするしかない。目下3連敗。5ゲーム差に開いたオリックスにどこまで食い下がれるか。
打撃部門のタイトル争いも、最後まで予想できない混戦となっている。2020、21年と2年連続首位打者を獲得するなど、オリックス在籍時にNPB通算打率.327をマークした
吉田正尚が昨オフ、ポスティングシステムでレッドソックスに移籍。タイトル経験者の
柳田悠岐(
ソフトバンク)、
森友哉(オリックス)、
松本剛(
日本ハム)、安打製造機の
近藤健介(ソフトバンク)が首位打者争いの有力候補と見られていたが、ダークホースとして6月下旬まで打率3割5分近いハイアベレージをマークしていたのが、
頓宮裕真(オリックス)だ。6月は打率.372、7本塁打で月間MVPを獲得。昨季打率.347で自身初の首位打者を獲得した松本のように突っ走るかに見られたが、相手バッテリーのマークも厳しくなる。7月は月間打率.188、3本塁打と打撃不振に。8月は再び復調気配で、現在打率.319をマークしている。
「勝負の夏場は実績ある選手が一気にギアを上げてくる。柳田は頓宮に打率で差を縮めていますし、春先は打撃不振だった
浅村栄斗(
楽天)もバットが振れている。柳田と浅村は三冠王を獲得する可能性がありえる。投高打低が進んでいる中、史上初の打率2割台で首位打者が誕生しても不思議ではない」(スポーツ紙記者)
7月に急上昇の浅村

7月に強打を発揮した浅村。このまま上昇し続けるか
パ・リーグで規定打席に到達して打率3割を超えている打者は頓宮と打率.309の2位・柳田のみ。3位は近藤で打率.292、4位は
紅林弘太郎(オリックス)で打率.291、5位は浅村が打率.284で追いかける。この中で絶好調と言えるのが浅村だ。7月は月間成績打率.395、9本塁打、24打点。5月上旬まで打率1割だったが、完全に息を吹き返した。20本塁打、54打点はいずれもリーグトップ。首位打者も狙える位置につけている。楽天の主軸として活躍しているが満足感はない。
昨年9月に週刊ベースボールのインタビューで、「うーん。全然ですね、今年も。もっとできるという気持ちはすごくあるので、悔しさしかないです。でも今はまだ優勝を狙える位置にもいるし、あまり自分の成績ということよりも、勝つことだけを考えてやっているんですけど……、まあ、もどかしさはやっぱりありますよね」と自身のパフォーマンスに歯がゆさを感じていることを明かし、「自分の一打でチームを勝たせる、得点を挙げる、そういうことが役割だと思っています。ランナーがいるときには、とにかく、何でもいいのでランナーをかえすこと。さまざまなことを求められますが、まずはそこを考えていますね。そして選手の先頭に立ってやらないと、とは思っています」と誓っていた。
パは松中が最後の三冠王
楽天は4位と優勝戦線から離されているだけに、浅村の打棒が上位浮上へ大きなカギを握る。一方で柳田は14本塁打、53打点とこちらも複数のタイトルを狙える。本塁打は浅村と6本差だが、爆発力があるだけに残り試合を考えると逆転できる可能性はある。
村上宗隆(
ヤクルト)が昨年に打率.318、56本塁打、134打点をマークし、史上最年少の22歳で三冠王に輝いたが、パ・リーグの三冠王は04年の
松中信彦(ダイエー)にさかのぼる。打率.358、44本塁打、120打点と圧巻の成績で平成唯一の三冠王に。本塁打王は
フェルナンド・セギノール(日本ハム)と分け合う形となった。
今年は打撃タイトルで、どんな結末が待ち受けているだろうか。
写真=BBM