7月に自身初の月間MVP

先発陣を引っ張る存在となっている山崎
巨人の投手陣で大きく飛躍した投手の筆頭格が、3年目右腕の
山崎伊織だろう。18試合登板で9勝3敗、防御率3.05。7月は4試合登板で4勝0敗、防御率1.91と抜群の安定感で自身初の月間MVPに輝いた。
キレのある直球に加えてカットボール、
シュート、フォーク、スライダー、カーブと多彩な変化球を操る。106回を投げて19四球という数字が示しているように、投げミスが少なく大崩れしない。エース・
戸郷翔征と共に先発陣を引っ張る存在に成長している。2ケタ勝利は通過点。熾烈なクライマックスシリーズ進出争いが続くシーズン終盤で、どれだけ白星を積み上げられるか期待がかかる。
光り輝く山崎と明暗が分かれる形となったのが、4年目右腕の
堀田賢慎だ。2人はトミー・ジョン手術を受けたという共通点があり、プロ1年目はリハビリに専念している。だが、投手としての能力は非常に高く、昨年の春季キャンプで当時の
桑田真澄投手チーフコーチ(現ファーム総監督)が両右腕を強化指定選手に指名したことが話題になった。
1年目のオフに育成契約で再スタートを切った堀田だったが、昨年に支配下昇格すると、3月31日の
ヤクルト戦(神宮)で6回5安打無失点の好投でプロ初登板初先発初勝利を挙げるなど2勝をマーク。まだまだ粗削りだが、最速155キロの速球は大きなロマンを感じさせた。
さらなる飛躍が期待された今季

今季はほぼ二軍暮らしとなっている堀田
さらなる飛躍が期待された今季だが、コンディション不良で出遅れた。7月22日に救援要員で一軍初昇格したが、25日の
阪神戦(甲子園)で一死から連続四球を与えて降板。今月5日の
広島戦(マツダ広島)も、
田中広輔に2ランを浴びるなど2回2失点とピリッとしない。3試合の救援登板で防御率8.10と結果を残せず、2週間後にファーム降格となった。
「投手としての能力は山崎に引けを取らないし、将来の巨人のエースになれる素材。もう一段階上のステージに行くためには、制球力の向上ですね。直球が速いだけでは一軍の打者に対応される。変化球をうまく使って投手有利のカウントで勝負できれば安定感が変わってくると思います」(スポーツ紙デスク)
堀田も自身の課題は認識している。昨年は被打率で左打者が.241に対して右打者が.329と打ち込まれた。週刊ベースボールのインタビューで、「まさに自分にとって一つの課題だと思っています。でも、これもやっぱりストレートなんです。右バッターのアウトローにしっかり真っすぐを投げ切ることができていない。そこを磨いて精度が上がってくれば、また違った結果が出てくるのかなと思っています」と分析している。
佐々木朗と同世代
2001年生まれの右腕は、球界を代表する右腕の
佐々木朗希(
ロッテ)と同世代。
宮城大弥(
オリックス)は左腕エースとして活躍し、今季も9勝4敗、防御率2.49の好成績をマークしている。
西純矢(阪神)も首位を快走する強力投手陣の先発争いに食い込み、5勝2敗、防御率3.71と頭角を現している。堀田も負けられない。インタビューでは「描く3年後の自分」というテーマで、以下のように語っている。
「今季はキャンプから期待をしてもらい、一軍に帯同させてもらって、開幕先発ローテーションにも入れてもらったのですが、思っている以上にプロの厳しさというものを感じています。それでも、期待してもらっている以上はこれからしっかり結果を残していかないといけない。もちろんその先にあるのは先発ローテーション。ケガなく1年間投げ切るというのは今後も必要なことなので、年間を通して先発ローテを守れる投手になりたいです」
逆境からはい上がれるか。残り試合が少なくなったが、一軍の舞台で存在をアピールしたい。
写真=BBM