ここぞの一打

決勝点を挙げた明治学院大・石島功大
【9月10日】一部リーグ戦
明治学院大4-3城西大
(1勝1勝)
秋季首都大学リーグ第2週2日目。開幕週で勝ち点を落とした明治学院大は、今週は13季ぶりに一部昇格を果たした城西大と対戦。二部ではライバルとしてしのぎを削り合った仲。注目のカードは、まずは城西大が先勝。迎えた2回戦は明治学院大にとって負けられない一戦となった。
試合は7回表まで3点をリードされる苦しい展開に。しかし、和泉賢治の2点適時打と捕逸で同点に追いつくと、なおも一死三塁と明治学院大のチャンスは続く。この場面で中堅へ犠牲フライを打ち上げ、決勝点をたたき出したのが石島功大(3年・桐蔭学園高)だ。
石島は桐蔭学園高3年の春にセンバツに出場した経験がある。チームメイトには
森敬斗(
DeNA)がおり、結果は初戦敗退だったが石島も代打で打席に立っている。
明治学院大には1年間の浪人を経て一般入試に合格して入学。そのため当初は野球部への入部も迷っていたそう。「結局、野球部には入ったのですが、最初は『楽しんでできたらいいな』というふうに思っていました」と振り返る。
入部当社はコロナ禍だったこともあり、緩い練習の雰囲気に戸惑いを覚えたが昨年、1学年上の儀同祐太郎が主将に就任したことで、その雰囲気が一変する。「儀同さんが主将になって高校野球並みに練習をするようになりましたし、選手の意識も変わっていきました」。
すると、この意識改革が奏功し昨春、チームは一部復帰を果たす。昨秋は最下位で城西大との入れ替え戦に回ったものの、1勝1敗のタイで迎えた大一番の3回戦で石島が逆転の2点適時三塁打を放ち、チームを残留に導いた。
再燃した野球熱
今春からはレギュラーに定着し全13試合に出場した石島。しかし、打率は.222と満足する数字を残すことができなかった。そこで、この夏は自分の形でスイングできるようにしっかり振り込んできたという。「チームメイトとも協力しながら、1日700スイングを目標に、ティーバッティングをメーンにバットを振ってきました」。
授業がない日は朝5時半起きでグラウンドへ向かい、夕方の5時頃まで練習しているという。「楽しもうと思っていたのに、今はめちゃくちゃ練習しています」と石島は笑った。
打順は中軸を任されており、金井信聡監督は「ミートも上手いのですが、やはりパンチ力がある。バットの芯に当たれば、とんでもない打球が飛んでいくので、一発長打を期待しています」と話す。
城西大との2回戦で放った値千金の一打は、中堅へ飛距離十分の犠牲フライ。本人は「3ボールになって甘い球が来ていたのでヒットを打ちたかった」と反省していたが、しっかりとクリーンアップの役割を果たして勝ち越しに成功した。試合はそのまま明治学院大が4対3で逃げ切り、1勝1敗のタイに追いついた。
「ピッチャーが好投していても、打線が援護できずに黒星を付けさせてしまった試合もあるので、これからは何点取られても、それ以上に点を取って打ち勝っていきたいです」と石島。
混戦が予想される首都大学リーグ。今春は2位だった明治学院大もそろそろエンジンが掛かってくる頃だ。
文=大平明 写真=BBM