制球力が大幅に改善

シーズンは終わっていないが、すでに最優秀中継ぎのタイトルを確定させている島内
全身から感情があふれ出た。8月15日、首位・
阪神との本拠地・マツダ
広島3連戦の初戦。2点リードの8回二死二、三塁、広島・
島内颯太郎は最後、151キロ直球で代打・
原口文仁をねじ伏せた。どん詰まりの遊ゴロに仕留め、右拳を握ってほえた。
新井貴浩監督は「島内のあんなガッツポーズなんて始めて見たでしょ。こっちも熱くなりましたよ」と珍しい姿に目を見開いた。
翌16日の同カードでは、連続試合ホールドがNPB記録(17試合)を前に15試合で止まるも、この試合まで18試合無失点。平均150キロ超の速球を武器に、今季は9月28日現在(以下同)39ホールドをマーク。41ホールドポイントも挙げ、最優秀中継ぎ投手のタイトルを確定させている。
投球のほぼすべてを直球とチェンジアップの2種類で占める。今季は自己最速タイ157キロもマーク。直球は何よりの生命線だが、球速はバロメーターの一つだ。「投げるたびに球速は確認しますが、最速を更新したいという考えはなく、抑えることが一番」。1球ごとに力感と球速を照らし合わせ、その日の状態を見極めながら好投へとつなげている。
入団以来、投球回を上回る奪三振数をマークし続ける一方、制球力が課題だった。昨季まで4年間の与四球率は4.82だったが、今季は2.67と大幅に改善。球威と緩急を重視するようになったことが、好調の最大要因だ。
「理想は困ったときに空振りとファウルが取れる直球。僕の直球の回転数は平均ぐらい。
シュート回転も多いと思う。その分、まだ伸びしろはあると思っています」
さらなる進化が楽しみだ。
写真=BBM