「負けない投手を目指している」

明大・村田は立大1回戦[9月30日]で今季3勝目、通算15勝目を挙げた
誰もが頼りにする「男・村田」である。
明大は立大1回戦(9月30日)で先勝した。右腕エース・
村田賢一(4年・春日部共栄高)は5回2失点。0対1の2回表には1点差とする左前適時打。4回表にはバッテリーを組む小島大河(2年・東海大相模高)の適時打で追いついたあと、二死二、三塁から村田が左中間中段へと運ぶ豪快な逆転3ランを放った。投打の活躍で、今季3勝目(0敗)を挙げた。
試合後、明大・田中武宏監督は村田の体調不良を明かした。「鼻づまりで万全ではないのは分かっていた。長く投げさせるつもりはありませんでした。自分で打ってみせるわけですから……。打つほうはずっと前から期待していました。外野が動かない。久々に見ました」。
体調について聞かれた村田は「ちょっとどころではない(苦笑)。よく寝られている感じではない」と、ややぐったりした様子で語った。
しかし、今春から明大のエース番号11を着けている限り「他のピッチャーに任せるわけにはいかない」と、1回戦の先発を譲るつもりは一切なかった。今夏は右肩のコンディション不良で出遅れ、大学日本代表として出場予定だった8月28日の高校日本代表との壮行試合(東京ドーム)を欠場。9月9日の開幕(東大1回戦)に照準を合わせてきた。「本来、投げ込まないといけない時期に投げられていないので……」と、シーズン開幕後も調整を継続し、尻上がりに調子を上げてきた矢先の体調不良だった。しかし、言い訳はしない。万全では投げられない分を、バットでカバー。「マウンドと打席は別ものです。ただ、大学入学時から飛ばす力だけはあったので……。あそこまで飛ぶとは……。ビックリのほうが大きいです」と目を丸くさせた。
今季3勝目は、リーグ戦通算15勝目。何よりも特筆すべきは、田中監督が「貯金を14もつくってくれている」と明かす、1敗という負け数だ。村田は言う。
「負けない投手を目指している。1敗については、打線に助けられた試合がいくつもある。野手に感謝したいと思います」
なぜ、打線の援護があるのか。数字は正直だ。村田は通算149回2/3を投げ28四死球。1試合平均1.7個と驚愕の制球力である。テンポの良さが最大の武器。守りのリズムの良さが、攻撃につながっているのは確かだ。
副将でもある「男・村田」は、明大として85年ぶりのリーグ4連覇へとけん引していく。
文=岡本朋祐 写真=BBM