タイブレークの末に決着

桐光学園高は横浜高との神奈川県大会決勝を下して優勝。県1位で関東大会へ出場する
4時間19分の攻防。シーソーゲームを制したのは桐光学園高だった。横浜高との神奈川県大会決勝(10月1日)を延長10回タイブレークの末、15対14で制した。
桐光学園高は4点を追う9回表に追いつき、13対13のまま9回を終え延長へ。桐光学園高は10回表に2点を挙げ、その裏の守りを1失点に抑え、15対14の壮絶な一戦を制した。
桐光学園高・野呂雅之監督は「タフなゲームを常に前提に練習をしている。特別感はない。つまらない失点をしないように言ってきました」と振り返った。秋の関東大会への出場は2019年以来である。
「今大会を通じて成長した部分、改善しないといけない部分について検証し、チーム、個人ともレベルアップさせて関東大会に臨みたいと思います」
旧チームからの司令塔で四番・捕手の中村優太(2年)の成長を挙げ「投手とのコミュニケーション、組み立てのほか、臨機応変に対応している」と、攻守のキーマンとしての信頼をつかんだ。シュアな打撃を見せる主将・森駿太(2年)、俊足巧打の矢竹開(2年)、そして大型右腕・法橋瑛良(2年)のほか経験豊富なメンバーが多くおり、関東大会での活躍が期待される。

横浜高は延長10回タイブレークの末に県大会決勝で惜敗。神奈川2位で、関東大会での上位進出を狙う
準優勝に終わった横浜高・村田浩明監督は9回の守りの難しさを再度、痛感した。
慶応高との今夏の神奈川大会決勝では2点リードの9回表に逆転3ランを浴び、涙をのんだ。この試合も4点リードの9回表に追いつかれ、タイブレークの末に屈した。
「自分は、もうちょっと(選手を)見ていかないといけない。乗り越えたかった壁ですが、責任を感じています。あきらめない力はつきましたが、最後の最後、最後までやり切る力。(勝利を)逃さない。もう1回、勉強をし直して『勝ち切る』ということですね」
神奈川2位で関東大会に出場する。昨年は準々決勝で敗退し、センバツ選考委員会では落選し、補欠校に回った。関東大会で2勝を挙げての4強進出が春の甲子園の出場圏内だ。
「3週間で関東大会で勝てるチームを作っていきたい。メンバーは県大会の25人から20人になります。やり切る、熱き気持ち。信じられる、やってくれる選手を見極めたい。甲子園を目指していますし、全国制覇を狙っていますので、しっかり準備をしていきたい」
常に勝利が求められる名門校の指揮官は、危機感を胸に、明日から生徒と向き合っていく。
写真=田中慎一郎