「『井手野球』を展開できた」

東大・大久保助監督は法大2回戦で勝利し、笑顔を見せた[写真=矢野寿明]
[東京六大学リーグ戦]
10月8日(神宮)
東大4-2法大(1勝1敗)
東大野球部を預かるのは、大久保裕助監督である。2020年春から母校を指揮する
井手峻監督は病気療養中のため、今春から大久保助監督が監督代行を務めている。井手監督とは同時期に就任し、ともにチームをつくってきた。
法大2回戦(10月8日)に「指揮官」として初勝利を挙げた。春から数えて19試合目。4対2で勝利し、一塁側スタンド、ネット裏にあいさつすると、東大の応援歌『ただ一つ』が流れた。試合後のエール交換は、勝者が先に歌う。格別のシーンである。
「ようやく投打の歯車がかみ合った。この勢いで3回戦をものにして、勝ち点を取りたい」
大久保助監督は、破顔一笑である。毎試合、井手監督にはグループLINEでスコアシートを添付し、試合結果を報告している。もちろんこの日も、すぐに送信した。
「『井手野球』を展開できた。就任4年目。守りを中心で接戦をものにするゲームができて良かったです」
大久保助監督は、東大の「勝ちパターン」を熟知している。1981年春にシーズン最多6勝を挙げ、4位へ躍進した「赤門旋風」当時の主将・遊撃手だった。シーズン前に「最少失点に抑え、4点を奪えれば勝てる。1試合でチャンスは3~4回はありますので、そこを確実にものにする」と語っていたが、思い描いていたシナリオどおりの流れになった。
大久保助監督は「対戦する5つの大学に、やられっぱなしにならないようにしていきたい」とも語っていたが、神宮で存在感を示した。最大のテーマは、1998年春から続く、51季連続最下位からの脱出。大久保助監督はただ一つ、東大の勝利のため、ベンチで指揮を執る。
文=岡本朋祐