兄が着けた背番号1で快投

［秋季東北大会2回戦］
10月18日(グリーンスタジアムよこて)
金足農[秋田]3-2久慈[岩手]
(延長10回)

「KANANO」の粘りは、継承されていた。

　来春のセンバツ出場への資料となる秋季東北大会。同地区が甲子園の切符をつかめるのは、例年よりも1枠増の一般選考枠3校である。

　秋田1位の金足農高は岩手2位の久慈高と2回戦で対戦。金足農高は2点ビハインドから4回表、相手のバッテリーミスで1点差とすると、8回表には四番・高橋佳佑(2年)の適時打で追いつく。2対2のまま9回を終え、10回からはタイブレーク(無死一、二塁の継続打順)へ突入した。

　試合の流れを引き戻したのは、右腕・吉田大輝(1年)。2018年夏の甲子園準優勝へ導いた吉田輝星(現日本ハム)の弟である。兄が着けた背番号1で快投。1対2の4回裏無死一塁から二番手として救援すると、後続を抑えた。5回以降も粘球で味方打線の援護を待ち、終盤の同点劇へとつなげたのだった。

　金足農高は10回表、先頭打者がきっちりと犠打を決めて一死二、三塁。四球で満塁とし、三邪飛の後、押し出し四球で勝ち越しに成功した。その裏、吉田は一死二、三塁のピンチも遊直で二塁走者が飛び出し、併殺でゲームセット。吉田は7回1安打無失点(96球)で、金足農高は初戦突破を果たした。


　準々決勝(19日)は学法石川高(福島3位)と対戦する。勝てば、東北4強であり、センバツへとまた一歩、前進することができる。

　投手を中心に、堅守でリズムをつかみ、攻撃へつなげ、バントの正確性でチャンスを広げる伝統のスタイルは健在だ。金足農高OB・中泉一豊監督の下、どんな逆境にもくじけない「雑草軍団」は、鍛えられている。秋田勢103年ぶりの夏の甲子園準優勝を遂げた「金農旋風」から5年。「KANANO」のユニフォームを着た後輩たちが、再び快進撃を起こそうと、全力プレーを続けていく。