先制打をマークした2年生五番

立大の五番・桑垣は東大2回戦で1回裏に先制の2点適時打を放った[写真=福地和男]
[東京六大学秋季リーグ戦第7週]
10月22日(神宮)
立大4-2東大(立大2勝)
立大は5位を死守した。
東大との最終カードは勝ち点ゼロ同士の直接対決。1回戦を9対2で制すと、2回戦も4対2で連勝した。今季初の勝ち点1を挙げ、2勝8敗で全日程を終えた。2回戦で先制打を放ったのは五番・桑垣秀野(2年・中京大中京高)だ。1回裏二死二、三塁から初球をたたき、中前への2点タイムリーとなった。
「昨日、良い形で打てたので、初球から振りにいこう、と。先制点になったので良かった。狙い球はなく、コースだけ決めて、自分のスイングができれば打てると思っていました」
中京大中京高では1年秋の明治神宮大会を「七番・右翼」で、10打数5安打で初優勝に貢献。エース・
高橋宏斗(現
中日)と正捕手・
印出太一(早大3年)のバッテリーのほか、遊撃手には
中山礼都(現
巨人)ら錚々たるメンバーの中で唯一の下級生レギュラーだった。
2年春のセンバツは、コロナ禍で中止。センバツ出場校が招待された8月の「甲子園交流試合」はオール3年生で臨んだため、甲子園の土を踏むことはできなかった。先輩の思いを胸に臨んだ3年春のセンバツでは「三番・中堅」で4強進出に貢献した。
立大では2年春から出場機会に恵まれ、今秋から外野手のレギュラーの座をつかんだ。開幕4カードでは一番を2試合、二番を3試合、七番を2試合、八番を1試合と、目まぐるしく変わる打順の中でも打率.310、1本塁打、4打点と対応してきた。左打席での堂々とした立ち居振る舞いは、170センチ(84キロ)を感じさせないどっしりさがある。
「どの打順でも、自分の役割は変わらない」
最終カードの東大戦では初めてクリーンアップ(五番)を任され、1回戦は3安打2打点。2回戦でも冒頭のように先制打を放ち、今季最終戦を飾り、4年生を良い形で送り出した。今季は初めて規定打席に到達し打率.342(リーグ7位)、8打点はチームトップである。
来年からは、上級生になる。
「いろいろな人に教えていただいて、今がある。3年春、秋につないでいきたい。チームに貢献できるバッターになりたいです」
木村コーチの新監督就任が内定
今秋の立大は不祥事により、シーズン3カード目から溝口智成監督が自粛となり、責任を感じた4年生も1カードにおいて神宮での活動を自粛した。4カード目から一部の4年生を除いて復帰したが、溝口監督は指導自粛のままシーズンを終えた。この秋に就任した木村泰雄コーチが監督代行として、3カードを指揮。溝口監督はもともと今秋限りで任期満了による退任が内定しており、木村コーチの新監督就任が内定している(就任時期は未定)。
「私もこの秋は、最初からベンチに入り、3年生以下の成長が分かりますし、途中、4年生が抜けた時期もありましたが、良い経験ができた。東大さんから勝ち点が取れて、チームとしても、来年に向けて楽しみがある」
木村コーチは韮山高(静岡)、立大を経て大昭和製紙でプレー(外野手)。日本製紙石巻の監督として、2013年の都市対抗でチームを初の8強へと導いたことがある。慶大・堀井哲也監督とは、高校時代の同級生である。
「社会人野球も都市対抗でたくさんのお客さんが入っていただけますが、神宮で伝統あるリーグ戦の重みは、言葉に言い表せない。一つ勝つことの難しさ。1試合、1試合、削られるような感じで、1勝は重い」
最下位を回避し、勝ち点1の5位で満足している学生は、誰もいないはずだ。2017年春を最後に遠ざかる天皇杯。立大はもう一度、足元から見つめ直していくことになる。
文=岡本朋祐