ロースコアの展開の予想に反して

5回、無死二塁から右飛を放ち走者を三塁に進めたノイジー
[日本シリーズ第1戦]
10月28日(京セラドーム)
オリックス0-8
阪神(阪神1勝)
59年ぶりの“関西ダービー”となった日本シリーズ。オリックスは
山本由伸、阪神は
村上頌樹が先発した初戦、ロースコアの展開となる予想に反して阪神が8対0と完勝した。
勝敗を分けるポイントとなったのは0対0で迎えた5回表、無死一塁からノイジーへの初球で
佐藤輝明が二盗を決めたシーンだろう。阪神は4回表、無死一、二塁のチャンスをつくったが三番・
森下翔太が遊撃併殺打、四番・
大山悠輔が見逃し三振で得点を奪えなかった。嫌な流れがあったなかでの盗塁。状況的にオリックスバッテリーの警戒度が下がっていたのは事実。ただ、もし失敗していたら、流れを手放してしまっていた。佐藤輝は隙を突いて、よく二盗を成功させた。
ノイジーの右飛で佐藤輝が三塁に進んだ、ここもポイントの一つだっただろう。シーズン中からノイジーは状況に応じたバッティングを見せていたが、大舞台でもきっちりと右方向へ。一死三塁と状況が変わったことで、続く
渡邉諒の詰まった当たりの中前先制適時打が生まれた。ランナーが二塁にとどまったままなら、外野手も前寄りに守っていたはず。そうすると渡邉の打球も捕られていたかもしれない。
それにしてもカーブがうまく制球できず、山本の出来は良くなかった。カーブは打者にとって、すごく邪魔な、嫌な球種。打席でそれを頭の中から消すことができ、球種を絞りやすくなったと思う。それにカーブを操れないということは、どこか投球フォームにズレがったということ。阪神の打者も振り負けずに5回には二死一、二塁から
近本光司が156キロ直球をたたき右中間を破る適時2点三塁打。さらに
中野拓夢の左前適時打で一挙4点を挙げて試合の主導権を握った。
村上は要所でのピッチングがさえた。味方打線が4点先制直後の5回裏、先頭の
森友哉に完全試合を阻止される二塁打を浴びたが、続く
頓宮裕真はフルカウントから外角低めいっぱいに直球を決めて見逃し三振。一死一、二塁からは10球粘られた
ゴンザレスを二飛、
若月健矢は三ゴロに仕留めました。村上の特徴を引き出す
坂本誠志郎のリードも素晴らしかった。
私は4勝2敗で阪神の日本一を予想。オリックスは
杉本裕太郎をケガで欠き、苦しい面がある。ただ、
中嶋聡監督はシーズン中から現有戦力をうまくやり繰りして、勝ち抜いてきた。第1戦も結果は出なかったが、一番に高卒2年目の
池田陵真を抜てき。第2戦も、どのような手を使ってくるか楽しみだ。
写真=BBM