“足技”を封じられた阪神

3回、近本の二盗を刺した若月。流れを呼び込むプレーだった
[日本シリーズ第3戦]
10月31日(甲子園)
阪神4-5
オリックス(オリックス2勝1敗)
ジワジワとプレッシャーをかけていく。派手ではないがオリックスが強い理由が詰まったゲームだった。まず、阪神が1点を先制したシーンだ。2回一死一、三塁から
坂本誠志郎が右へ放った一、二塁間を抜けるかという打球を二塁手・
ゴンザレスが横っ飛びで好捕。併殺崩れとなり、オリックスは1点を先制されたが、最少失点で切り抜けたのは高い守備力があったからだ。
3回は先頭打者の
近本光司に右前打で出塁されるも、一死から二盗を試みたセの盗塁王を
若月健矢が見事な送球。近本を二塁で刺したプレーが流れを呼び込む。直後の4回、二死から
頓宮裕真の同点ソロが飛び出した。これは打った頓宮を褒めるべき。阪神バッテリー変化球を意識させ、最後はカウント2-2から
伊藤将司がクイック気味に外角低めへ直球。きちんと制球されていたが、頓宮が本当によく打った。
5回のオリックスは先頭の
紅林弘太郎が右前打し、続く若月は2ボールから直球を狙い打ってエンドランに成功。無死一、三塁からは
廣岡大志の遊ゴロの間に三走・紅林がホームにかえり1点を勝ち越した。マウンドの伊藤将はオリックスの攻撃に嫌な感じを受けただろう。一死一塁からは犠打の打球を二塁へ悪送球してピンチを広げる。フィールディングがうまい伊藤将には珍しいプレーだった。二死後、カウント2-2から自信を持って投げ込んだ外角低めのカットをボールと判定されフルカウントに。ガックリきた阪神バッテリーは冷静さを欠いたように思う。
目先を変える意味もあったのだろうが坂本が高めにミットを構える。だが、外野は前進守備を敷いていた。ゴロを打たせるために低めに投げるべきだったが、結局、直球が甘く入り、宗に右中間を破られてしまう。オリックスは6回、若月の犠飛で1点追加。取れるべきときに、しっかり得点を重ねるのは強いチームの条件だ。
7回に3点を奪い1点差に追い上げた阪神は8回一死から
ノイジーが中前打で出塁。代走に
島田海吏が送られ、坂本の2球目に盗塁を仕掛けるもバランスを崩してストップ。結局、坂本は犠打で送り二死二塁にしたが、木浪が三振に倒れ同点機を逸してしまう。島田がうまく走れなかったのも、近本が盗塁失敗した残像があり、「しっかりスタートを切らなければ」というプレッシャーがあったからかもしれない。
得意の足技を封じられた阪神。これが第4戦以降、どう影響していていくか。
写真=BBM