劇的勝利につながった登板

8回、二死一、三塁のピンチでマウンドに上がった湯浅はオリックスに勝ち越しを許さなかった
[日本シリーズ第4戦]
11月1日(甲子園)
阪神4x-3オリックス(2勝2敗)
阪神のサヨナラ勝利を呼び込んだのは、やはり8回、二死一、三塁のピンチで4カ月半ぶりの一軍登板となる
湯浅京己をつぎ込んでピンチをしのぎ切った場面だろう。8回の展開を振り返ると、まずオリックスは先頭の
紅林弘太郎が中前打で出塁。続く
野口智哉がスリーバント失敗も
廣岡大志の打席でランエンドヒットを敢行して一死一、三塁とチャンスを拡大させる。ミスをカバーするオリックスの野球は見事だ。
ここで
T-岡田を代打に送ったが阪神ベンチが左腕・
島本浩也をマウンドに上げると、代打の代打・
安達了一が打席へ。一走・廣岡が二盗を決めて二、三塁から安達は三ゴロで三走・紅林は本塁憤死。二死一、三塁となり、湯浅が登板して初球の149キロ直球で
中川圭太を二飛に打ち取ってゼロで切り抜けた。
岡田彰布監督は「湯浅にかけるとファンの声援でムードがガラッと変わると思った」と、その意図を語ったが、ベテラン監督らしい見事なさい配だった。
オリックスにとっては2試合続けて
山崎颯一郎がベンチ外で起用できなかったことも痛かっただろう。3対3で迎えた9回裏、六番手で投げてみなければ分からない
ワゲスパックをマウンドに送らざるを得なかった。ワゲスパックは一死から
近本光司に四球を与え、2度の暴投で三塁まで進まれ、連続申告敬遠で満塁策。大山に対してもストライクが入らず、3ボールに。変化球でストライクが取れないから直球を選択するしかなく狙い打たれ、最後はサヨナラ打を打たれた。シリーズ前、リリーフの層は阪神のほうが厚く、その差が日本シリーズの行方を左右すると予想していたが、それが如実に表れた感じだ。
両軍、エラーなどミスが頻発しながら結果的に4対3のスコアに収まったのは投手力の高さゆえだと思う。ただ、それでもサヨナラに至った場面もそうだが四球が失点に絡むことが多い。投手の“失策”ともいえる四球が第5戦以降もカギを握るだろう。
写真=BBM