155キロ到達を目指す湯田

明大に入学する仙台育英高・湯田[左]と山梨学院高・林[右]が1月29日、島岡寮に入寮後、初の練習に参加した[写真=BBM]
甲子園で優勝を経験した2人の右投手が、明大に入学する。
151キロ右腕・
湯田統真は仙台育英高(宮城)で2年夏、背番号18の控え投手として東北勢初の全国制覇に貢献。3年夏の甲子園では背番号1を着けた151キロ右腕・
高橋煌稀とともに準優勝を遂げた(湯田は背番号10)。
「明治は施設が良く、東京六大学で好成績を収めているので入学を志望しました。選手の上昇志向が強く、レベルも高い。今後の野球人生につなげられる環境だと思いました」
同リーグの早大には高橋に加え、仙台育英高でバッテリーを組んだ尾形樹人が入学する。また、左腕・田中優飛も同じ東京六大学の立大の門をたたく。そして「150キロトリオ」として騒がれた151キロ左腕・
仁田陽翔は、東都大学リーグ二部・立正大へ進学する。
「刺激になる存在。学校は違いますが、モチベーションが高まる。早くメンバー入りして、神宮で戦えたらいいです」
ただ、大学デビューは急いでいない。
「フィジカル的にも落ちている。(春のリーグ戦開幕の)4月に合わせようとし、出力を上げるとケガにつながる可能性がある。焦らず、じっくりやり、1年秋ぐらいから投げられればいい。4年までには155キロを投げて、最優秀防御率のタイトルを獲ってみたい」
投球術が武器の林
剛腕タイプの湯田に対して、投球術が武器なのが林謙吾。山梨学院高では昨春のセンバツで、春夏を通じ県勢初優勝の原動力となった。
「高校3年に進級する前の2月、明治の練習に参加しまして、意識が高く、考えてやるメニューが自分に合っているな、と。東京六大学という高いレベルで野球をしたかった」
昨春のセンバツではストレートのほとんどが130キロ台も、キレが抜群だった。変化球はカットボール、スライダー、チェンジアップ。低めにコーナーに丁寧にボールを集め「春日本一」へと導いた。同大会で8強進出した湯田は「(林は)ほぼ一人で投げていた。めっちゃ、コントロールが良い」と舌を巻く。
「キャッチボールで回転数、ボールの伸び、球質を意識しています。さすがに(最速の)142キロでは……。」。持ち味を維持しつつ、球速アップを実現させていきたいという。
「アベレージを140キロ台で、最速145キロが当面の目標です。体の使い方、フォームを吸収して、数字を上乗せしていきたいと思います。湯田は速いですよね。変化球も、球速が違う。出力があるな! と見ていました」
林も早期デビューには控えめである。
「高校は独学。大学は専門的なトレーナーもついている。学びながら、レベルアップしていきたい。数字的な目標はないです。優勝したい。負けたくない思いが強く、チームのリーグ制覇に貢献できればいいです」
最上級生でピークへ
好きな投手は2人とも、MLBで活躍するジェイコブ・デグロム(レンジャーズ)。高校時代のアンケートに記載していたことを伝えると「一緒なんだ!!」と、顔を見合わせて笑った。対照的な投球スタイルが、コメントにも出ていた。
「真っすぐ、スライダー、チェンジアップを軸に、たまにカーブを投げる。純粋にスタイルが似ているな、と。球速を出しつつ、制球も良い。自分にとって『完成形』です」(湯田)
「湯田とは真逆で……(苦笑)。あこがれです。あんなスピードボールで、変化球も速い。完璧で、普通にカッコいいですよ」(林)
4年後、湯田は「プロへ行きたい思いはある」と言えば、林は「プロ、社会人……。高いレベルで野球を続けていきたい」と慎重に語った。明大は投手層が厚く、25人のベンチ入りさえも、高いレベルでの競争が待ち受ける。
まずは、大学の生活環境に慣れることが先決。明大には最上級生でピークを迎えるための育成プログラムが整っており、4年というスパンで、地道に練習を重ねていく。
文=岡本朋祐