ライバルは期待以上のパフォーマンス

4年目を迎えた秋広。レギュラーを確固たるものにできるか
熾烈な競争が選手たちのモチベーションを高めている。V奪回を狙う
巨人で注目されるのは外野の定位置争いだ。
右翼はメジャー通算178本塁打をマークした新外国人のルーグネッド・オドーアを起用する公算が高いが、残りの2枠は開幕直前まで定位置の行方が分からない。左翼は
丸佳浩、
秋広優人で競い、中堅はドラフト3位の佐々木俊輔、
松原聖弥、
オコエ瑠偉、
萩尾匡也が実戦で好調をアピールしている。
浅野翔吾もファームで打撃好調に加え、新たな戦力が。
若林晃弘との交換トレードで
日本ハム・
郡拓也が移籍することが3月11日に発表された。郡は本職が捕手だが、内外野を守るユーティリティープレーヤーとして知られる。若林とプレースタイルは似ているが、25歳と若い。俊足と強肩が武器で課題の打撃が向上すれば、覚醒する可能性を秘めている。
「外野は佐々木、松原、オコエと期待以上のパフォーマンスを見せている。丸も右脇腹の違和感から復帰し、きっちり状態を上げている。オープン戦で結果を残せていない秋広は当然危機感を持っているでしょう。昨年は頭角を現したが、まだ実績を出したと言えるレベルではない。外野のレギュラーどころか開幕一軍の切符も保証されていない。もちろん巨人の未来を考えると、一本立ちしてもらわなければ困る選手です。どんどん状態を上げていきたいですね」(スポーツ紙記者)
打撃以外のプレーもしっかりと
オープン戦ではなかなか快音が聞かれなかったが、結果を出すことが一番の薬になる。「九番・一塁」でスタメン出場した10日の
阪神戦(甲子園)では2点リードの7回二死一、二塁で左前に落とす適時打。豪快なアーチだけでなく、ミート能力の高さも魅力だ。昨季は規定打席に4打席足りなかったが、121試合出場で打率.273、10本塁打、41打点をマーク。成長の跡を見せたが、数字に表れない場面の状況判断にまだまだ課題がある。
阿部慎之助監督が最も重視するポイントだ。走塁や守備でのミスは拮抗した試合展開で命取りになる。若さは言い訳にならない。
プレーの精度を高めることに注視したチームは、生まれ変わろうとしている。リーグ連覇を狙う阪神・
岡田彰布監督は「当然、ほかの5チームはウチをターゲットにしてくるだろうし、それなりに補強しているだろう。その中でやはり気になるのは巨人かな。監督が代わったのはセ・リーグでは巨人だけ。退陣した原(
原辰徳)前監督なら、何をやってくる、どう動いてくるか、それなりに分かっていたけど、今度は白紙になる。阿部(阿部慎之助)新監督の目指す野球がどういうものなのか。未知の部分は多い。さらに優勝から遠ざかっているし、球団創設90周年の節目のシーズンということで、球団としても巻き返しにくる。戦力補強を含め、最も様変わりしてくるのは巨人だろうし」と週刊ベースボールのコラムで警戒を口にしている。
4年目がターニングポイント
レギュラーをつかむのは難しいが、レギュラーで活躍し続けることは何倍も難しい。選手層の厚い巨人は結果を出さなければ、出場機会をあっという間に失う。松原は2021年に135試合出場で打率.274、12本塁打、37打点、15盗塁とブレークしたが、22年以降は打撃不振で50試合、21試合出場と減少。実績十分の丸も例外ではない。
広島からFA移籍し、20、21年のリーグ連覇に貢献するなど中心選手として活躍してきたが、昨年は121試合出場で打率.244、18本塁打、47打点と不本意な結果に。34歳のベテランに外野の定位置は確約されず、オープン戦で結果を求められている。
秋広は今季がプロ4年目。まだ21歳と若いが、先輩たちの残した成績を見ると、「高卒4年目」が野球人生のターニングポイントになっている。前年まで一軍定着できていなかった
岡本和真は18年に全143試合出場で打率.309、33本塁打、100打点と大ブレーク。
坂本勇人も10年に打率.281、31本塁打、85打点、14盗塁と自身初の30本塁打をクリアしている。相手バッテリーの厳しいマークを乗り越え、一流選手への階段を登れるか――。将来を背負う逸材として秋広にかかる期待は大きい。外野の定位置争いを制し、絶対的な存在になれるか。
写真=BBM