ストレートの質が抜群

慶大・堀井監督は関大とのオープン戦[3月17日]後、報道陣の取材に応じた[写真=BBM]
慶大・堀井哲也監督には2つの顔がある。母校を率いる指揮官であり、侍ジャパン大学日本代表で采配する立場もある。
春のリーグ戦開幕に向けたオープン戦は、自校の戦力を把握するのと同時に、相手チームの選手にも目を光らせている。
3月17日、関西遠征中に組まれた関大とのオープン戦は、まさしく視察の場にもなった。相手の先発は153キロ左腕・金丸夢斗(4年・神港橘高)。侍ジャパントップチームに名を連ね、欧州代表戦(3月7日)では先発で2回無失点に抑え、ドラフト1位候補はさらに評価を高めている。
「試合はテレビで拝見し、選手たちも、オープン戦での対戦を楽しみにしていました。ウチのチームとしては、良い投手の打席に立つ良い経験ができました」
この試合、試合開始前から冷たい雨が降り注ぐ、厳しいコンディション。金丸は丁寧な投球を心がけ、予定されていた5回を5安打無失点に抑えた(試合は3対3、慶大の6回表の攻撃終了時で打ち切り)。
試合後、まずは、慶大監督の顔で評価した。
「(金丸投手は)侍ジャパンが一つのピークだった、と。張り詰めたものは続かないので、今は(春のリーグ戦開幕に向けて)エンジンをかけ直しているところだと思います。今日は足下も悪くて、ベストではなかったはず。5~6割の状態だったからヒットが出たが、連打は難しかった。ちょっと、出そうもない雰囲気でした(苦笑)。大学では一級品です」
具体的には、何が好素材なのか。
「ストレートの質。スピード、球威だけではない、質が良いんです。初見では、とらえるのは難しい。変化球も良くなっている。走者を出してからは、より集中力の高いマウンドさばきを見せる」
そして、大学日本代表監督としての「コメント」だ。
「良いスタートを切っているので、このまま順調にシーズンを過ごしてほしい。春は(関西学生リーグを)勝ち抜いてくるでしょうから、全日本の監督としても期待しています。侍ジャパントップチームでは、他の大学生が存在感を示しましたが、大学野球を盛り上げてほしいです」
最後に慶大監督の顔に戻った。
「ウチには、余裕すらない(苦笑)。全国大会での再戦? まずはリーグ戦です」
大学トップレベルの投手との直接対決。堀井監督は2つの収穫を持ち帰った。
文=岡本朋祐