背番号が3ケタから2ケタに

キャンプでは3ケタの背番号を背負っていた椋木。3月14日に支配下復帰を果たした
リーグ4連覇を狙う
オリックスは、先発陣の構築が最大のテーマになる。
絶対的エースの
山本由伸がポスティングシステムでドジャースに移籍。
山崎福也は
日本ハムにFA移籍した。昨季16勝で最多勝に輝いた山本、チーム2位の11勝をマークした山崎福が抜けたのはもちろん痛い。2人合わせて計27勝、294回1/3をチーム全体でカバーしなければいけない。左右のエースとして期待される
宮城大弥、
山下舜平大は投手タイトルを獲得する活躍が求められる。
田嶋大樹、
東晃平、
ロッテから新加入の
ルイス・カスティーヨは開幕先発ローテーション当確と言ってよいだろう。実戦で好投を続けている左腕・
曽谷龍平、新外国人右腕の
アンダーソン・エスピノーザ、救援から先発転向した
小木田敦也、先発、救援と起用法が幅広い
山岡泰輔が残り1枠の有力候補となる。
開幕で先発ローテ入りは厳しい状況だが、故障が癒えて大ブレークする予感を漂わせているのが
椋木蓮だ。入団1年目の2022年9月にトミー・ジョン手術を受け、リハビリに専念するため育成契約に。昨季は一軍登板なしで、10月に開催されたフェ
ニックス・リーグで実戦復帰を果たした。今年の春季キャンプで実戦登板を積み重ね、3月14日に支配下復帰。背番号15のユニフォームを再び身にまとうことになった。
重くてうなりを上げる直球
他球団のスコアラーは、「能力で言えば、エースになれる素材。先発ローテの五、六番手でとどまる投手ではない」と警戒を強める。
「投げ方はサイドではないけど、球質が重なるのは
巨人の大エースだった
斎藤雅樹さん。直球が速いだけでなく、重くてうなりを上げて向かってくるというイメージですかね。好調のときは直球と分かっていても差し込まれる。フォークとスライダーの精度も高いので、なかなか連打が出ない。コンディションが万全なら先発の軸になる投手だと思います」
東北福祉大からドラフト1位で入団すると、1年目の活躍は強烈だった。プロ初登板となった7月7日の
西武戦(京セラドーム)で6回2安打7奪三振無失点の快投でプロ初勝利をマーク。続く同月20日の日本ハム戦(京セラドーム)では9回二死までノーヒットノーランの快投を見せる。代打の
佐藤龍世に中前打を浴びて大記録達成はかなわなかったが、新人投手のプロ初登板初先発から2戦連続の白星は球団史上初の快挙だった。一軍で十分に通用することを証明して順調に白星を重ねるかに見えたが、暗転する。9月8日の西武戦(ベルーナ)で2回途中に右肘の違和感を訴えて降板。右肘の手術を受けることになり、マウンドから遠ざかることになった。
「理想は見逃し」
稼働した期間が3カ月と長いとは言えない。昨年にリーグ3連覇の輪に入れなかった悔しさはあるだろう。だが、プロ野球人生は長い。椋木は入団時に「100勝100セーブ」を目標に掲げている。理想の投手像、直球について、週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っている。
「
楽天の岸(
岸孝之)投手です。力感のない真っすぐを投げるけど、スピードは出ているし、コントロールも良い。それでバッターも差し込まれている。やっぱり力感のない真っすぐが理想で、そういうボールを投げたいんです。視覚から得る情報では力感のないフォーム、ボールだけど、実際に体感するボールは力強い。このギャップがあるからバッターは打ちにくいんだと思うんですよね。そのギャップのあるボールを投げることが理想だし、目指すところです」
「(直球の)理想は見逃しなんです。スピードだけじゃなく、コントロールも大事。なので、分かっていても、バッターが「手が出ない」と思う真っすぐが理想なんです。『凡打』や『空振り』、『ファウル』はバッターが反応できている。でも『見逃し』は、バッターが反応できていないわけじゃないですか。そこが、目指す理想の真っすぐなんです」
今年のシーズンフル稼働は難しいかもしれないが、椋木が白星を積み重ねればチームの大きなプラスアルファになる。一軍のマウンドで再び躍動する姿が楽しみだ。
写真=BBM