リーグ戦では自己最速159キロ

愛知工大・中村は圧巻のピッチングを見せた[写真=矢野寿明]
【侍ジャパン大学代表候補合宿】
▼6月22日 紅白戦[バッティングパレス相石スタジアムひらつか]
異次元の領域に入る、貫録の投球だった。
愛知工大・中村優斗(4年・諫早農高)は紅白戦で2回を打者6人から5者連続三振、パーフェクトに抑えた。この日最速の154キロの真っすぐにスライダー、フォーク、カットボールを織り交ぜ、格の違いを見せつけた。
3月には
井端弘和監督が指揮する侍ジャパントップチームに招集。欧州代表との強化試合第2戦では1回無安打無失点に抑え、自己最速タイ157キロを計測。飛躍の舞台となった。
今春の愛知大学一部リーグは5位。目標としていた全日本大学選手権出場を逃した。苦しいチーム状況の中、中村はエースとして腕を振った。中京大3回戦では自己最速を2キロ更新する159キロを計測し、成長の跡を残している。
昨年12月の愛媛・松山に続き、侍ジャパン大学代表候補合宿に選ばれた。リーグ戦後は肩、肘を休める疲労回復と並行して、今年から取り入れたトレーニングを継続してきた。
「重心を一つのテーマとしてきました。母指球と小指球のラインに合わせて、そこの位置でウエートトレーニング。投げるのも同じ位置にすると、並進(運動)が一番速くなる。かかと重心で乗り切れなかったんですが、ちゃんとした重心でボールに力が伝わりやすくなり、球の質が上がりました。投手はスピードだけではないですが、一つの指標にはなる」
紅白戦には2つのモチベーションがあった。
「2イニングをパーフェクトに抑える。自己最速を狙う」
7回表二死からは、侍ジャパントップチームでともに欧州代表の強化試合を戦った青学大・西川史礁(4年・龍谷大平安高)からスライダーで空振り三振を奪った。
「松山では内野安打を打たれていたので、今回は三振を取れて良かったです」
スカウトも高評価

2イニング目の最後のボール[空振り三振]で、この日最速の154キロを計測した[写真=矢野寿明]
特別ルールで登板した7回裏は三者連続三振。最後のボールは空振り三振で154キロと、存在感を示した。自己最速を更新できなかったが、あくまでも設定した数字に過ぎない。フォークの変化についても「手前で落ちたので、捕手に迷惑をかけました。納得はしていない」と反省を口に。ただ、2つのゼロをスコアボードに記した投球内容には、充実感がある。
「抑えるという、投手としての仕事ができた」
ネット裏で視察した
広島・
苑田聡彦スカウト統括部長は「ボールは速いし、キレがあるし、コントロールもある。あのフォークは打てない。投げ方も良いので、ケガをせず、もっと良くなると思います。ドラフト1位候補? どの球団も評価しているでしょうから、そうなるのでは」と、あらためて逸材を絶賛した。
2024年の侍ジャパン大学代表のエース候補に名乗りを上げた中村。この日の2イニングで、強烈なインパクトを与えた。
文=岡本朋祐