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【大学野球】マスターしつつある力感のない投球…国際舞台を飛躍の場とする慶大・外丸東眞

 

リーグ戦でエースの役割を全う


6月22日の紅白戦では2回無失点。安定感ある投球を披露した[写真=矢野寿明]


【侍ジャパン大学代表候補合宿】
[バッティングパレス相石スタジアムひらつか]

 慶大・外丸東眞(3年・前橋育英高)にとって、合宿3日間は充実の時間となった。

 昨秋は東京六大学リーグ戦で6勝(0敗)、防御率1.54で4季ぶりのリーグ優勝に貢献。明治神宮大会でも2勝を挙げ、青学大との決勝では5安打シャットアウト(2対0)で、4年ぶりの優勝へと導いた。青学大の年間タイトル4冠(春、秋のリーグ戦、全日本大学選手権、明治神宮大会)を阻止し、2年生にして大学球界の頂点へと登り詰めたのである。

 トップアスリートとは、向上心の塊である。慶大・中根慎一郎助監督が「意識レベルは社会人の一流選手と同じ」と明かすように、外丸は自分で考え、実践し、行動できる選手である。昨秋のシーズン中から口にしていたのは、自己最速149キロからの球速アップ。外丸の武器であるコントロールと、ボールのキレを維持しながら、さらなる高みを目指した。

 外丸の良さは、低いテークバックからやや腕が遅れて出てくるため、打者としてはタイミングが取りづらい。しかし、登板を重ねると負担がやや大きくなる。今後のことを見据え、若干の手を加えた。しかし、すべてを追求するのは難しい。3月の関西遠征の際も「なかなか難しいです」と明かしていた。しかし、どんな状況でも慶大エースとして、マウンドを死守しなければならない。

 この春、慶大は3位。外丸は3勝3敗、防御率2.17と数字を落とした。最も分かりやすい数字が四死球である。昨秋は64回1/3で11四死球だったのに対して、今春は54回で17四死球。とはいえ、全5カードで1回戦の先発を務めるなど、7試合で先発(救援2試合)し、エースの役割を全うした。

 リーグ戦閉幕後、大学日本代表候補に選出。6月22日の最終選考合宿までの約3週間、自らともう一度、向き合った。原点回帰。「春のリーグ戦を通じ、力みがあった。スピードよりもコントロールの大事さを再認識しました」。体を休めながら、テークバックを含めたフォームを微調整。昨秋に戻すのではなく、レベルアップする過程の上で修正した。

たくさんの収穫があった合宿


 万全の調整を経て、6月22日に行われた紅白戦では2回1安打無失点と結果を残した。持ち味を、存分に発揮したのである。外丸は代表メンバー24人(投手は11人)に初選出。自身のピッチングを十分に理解している。

「力感のない投球が、今回の紅白戦を通じてできつつある。球速がないので、コントロールでどこまで通用するか。武器である少し動くボールで、カットボール、ツーシームを織り交ぜた投球を展開していきたい。慶應の代表、六大学の代表、そして全国の大学生の代表として、チームの勝利に貢献したいです」

 合宿期間中は早大の右腕・伊藤樹(3年・仙台育英高)と一緒に行動する機会が多く見られた。伊藤は昨秋、外丸の活躍に刺激を受け、今春は天皇杯奪還の原動力となり、初のベストナインを受賞。外丸にとっても気になる存在で「ライバルとして意識しています」と明かす。合宿では同部屋だったが「野球の話はほとんどしていません」。2人でリラックスできる時間を過ごした。仙台大の左腕・渡邉一生(3年・日本航空高)からもトレーニング法などを学び、たくさんの収穫があった。

 6月29日からは国内直前合宿がスタートする。侍ジャパン大学代表はプラハ・ベースボールウイーク2024、ハーレム・ベースボールウイーク2024に出場する。外丸の投球スタイルは、強振してくる傾向の多い外国人打者に効果的。国際舞台を飛躍の場とする。

文=岡本朋祐
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