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阿部慎之助監督が期待も打率1割台の危機…復調待たれる「坂本勇人の後継者」は

 

思うような成績を残せない打撃


今季はここまでバッティングで苦しんでいる門脇


 プロの世界は厳しい。レギュラーで試合に出続けられる選手は一握りだ。今、打撃不振のこの選手も高い壁を乗り越えようと必死にもがいている。大卒2年目の巨人門脇誠だ。

 新人の昨年は内野の守備で高い能力を発揮。打撃も試合を重ねるにつれて広角に安打を飛ばすようになった。126試合出場で打率.263、3本塁打、21打点、11盗塁。シーズン終盤は不動の遊撃だった坂本勇人が三塁に回る形で、遊撃の定位置をつかんだ。

 練習熱心で野球に向き合う意識も高い。今年から就任した阿部慎之助監督の信頼は厚く、開幕前に遊撃の定位置で起用する構想を明言したが、試練が待ち受けていた。相手バッテリーのマークは昨年より当然厳しくなる。5月は31打席連続無安打で月間打率.130と不振から抜け出せない。同月下旬以降はスタメンから外れる機会が増える。

 6月もボール球に手を出す場面が目立ち、19打席連続無安打を喫するなど試行錯誤が続く。交流戦は打率.063、0本塁打、0打点。6月30日の広島戦(東京ドーム)では4回一死三塁の好機でスクイズを敢行したが捕邪飛に倒れた。チームは勝ったが、試合後に険しい表情で自身への悔しさをあらわにした姿が印象的だった。

 68試合出場で打率.210、0本塁打、7打点。当然満足できる数字ではないが、下を向いている時間はない。打撃で思うような結果を残せない分、遊撃の守備で貢献しようと必死だ。6月27日のDeNA戦(横浜)。同点の9回一死二塁のピンチで、度会隆輝の左前に落ちようかという打球を好捕。7月2日の中日戦(松本)では、5回一死で田中幹也の遊撃後方の打球を背走。落下地点に素早く入り捕球した。

 ファームに降格させることなく、一軍で起用している阿部監督の期待は大きい。開幕前に週刊ベースボールのインタビューで、「とにかくこちらが辛抱できるか、できないかだけなんで。そこだけだと思います。彼らが必死に頑張ることは間違いないので、こちらはもちろん辛抱しなければならないし、辛抱したいし、してあげたい。その間にどう応えてくれるか。苦しい時を乗り越えないと、よく言われるような『一流』という選手にはなれないと思っているのでね」と語っている。6月25日のDeNA戦(新潟)から「八番・遊撃」で6試合連続スタメン起用したのは、一本立ちしてほしい思いが込められているのだろう。

かつての名遊撃手も大きな期待


遊撃の高い守備力は周囲からの評価が高い


 現役時代に遊撃、三塁でゴールデン・グラブ賞を計10度受賞するなど、球界を代表する遊撃として活躍した野球評論家の宮本慎也氏は週刊ベースボールのインタビューで、「これから日本代表するショートとして期待する若手」について、以下のように語っている。

「パッと思いつくのは、門脇(門脇誠、巨人)や紅林(紅林弘太郎オリックス)あたりですかね。門脇はバランスが良い選手です。スローイングもよくて肩も強い。高校1年から大学4年生まで試合に出続けた体の強さもあります。能力的にも十分やっていける選手。実際に坂本をサードに追いやっていますから」

「2年目の今年はすでに7失策(6月2日現在)ですが、昨年がうまく行き過ぎました(23年は65試合で2失策)。僕自身は2年目に65試合出場で11失策。源田(源田壮亮)は1年目に143試合で21失策しています(いずれも遊撃手での出場成績)。最初からミスしない選手は少ないですし、出場機会を重ねてミスを減らすのがいい選手だと思っています。門脇は今、うまくなる過程、壁に当たっている最中。経験を重ねてさらに上達するはずです。ただ、そのためには試合に出続けることが大事なのですが」

 失敗や挫折を成長への糧にできるか。ペナントレースはこれから勝負の夏場を迎える。昨季も6月終了時点で打率.170、1本塁打、8打点だったが、7月以降は打率.310、2本塁打、13打点と安打を量産した。攻守で野性味あふれるダイナミックなプレーは球場の空気を変える力がある。V奪回に向け、復調してもらわなければ困るキーマンだ。

写真=BBM
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