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坂本勇人はショートが最も似合う? 「V奪回のカギを握る起用法」指摘が

 

史上最強の遊撃手


7月12日のDeNA戦で、「六番・三塁」で一軍復帰した坂本


 巨人坂本勇人が野球人生の分岐点を迎えている。

 打撃不振で6月26日に登録抹消されていたが、2週間の調整期間を経て7月12日のDeNA戦(横浜)に一軍昇格で即「六番・三塁」でスタメン起用された。この試合まで5連勝中と上昇気流に乗っていたチームは一塁・大城卓三、三塁・岡本和真の布陣が機能していたが、開幕時の守備位置に戻した。三塁に坂本、岡本が一塁に回り、大城は6月8日のオリックス戦(東京ドーム)以来、1カ月ぶりに本職の捕手でスタメンマスクをかぶった。試合は同点で迎えた9回一死三塁で若林楽人の左前適時打でサヨナラ勝ち。坂本は復帰戦で4打数無安打に終わった。

 昨年5月31日のロッテ戦(ZOZOマリン)で、遊撃で史上初の通算2000試合出場を達成。プロ2年目の2008年から守り続けていたが、輝きが色褪せない。坂本ほど遊撃が似合う選手はいないだろう。名遊撃手として知られた元ヤクルト宮本慎也氏は週刊ベースボールのインタビューで、「史上最強の遊撃手」について聞かれた際にこう語っている。

「『一番いい』ショートとなると、守りだけだと思うんですよ。でも『史上最強』となると打撃も含まれる、守れて打てる選手。そうなると坂本(勇人、巨人)か松井稼頭央(元西武ほか)ですね。これは誰もが言うと思います。ほかの名前が出ることはないんじゃないかな。どちらかを選ぶのは難しいですね。稼頭央は肩、足がすごかった。体を鍛えてパワーを身に付けてトリプルスリーも達成しています(02年)。身体能力が図抜けていて、能力では追いつくことができない選手でした。坂本は40本塁打を打っていて(19年)、24盗塁したシーズンもあります(13年)。そこのプラスマイナス10を考えたら同じかなと。プロ野球90年の歴史を見てもどちらかでしょう」

「坂本になりますかね。寿命的にレギュラーを張れるのは10〜12年だと思うんです。それをはるかに超えていますから。2000試合は史上唯一ですから、『史上最強』は坂本ということにしましょう」

昨年5月31日のロッテ戦で史上初の遊撃で2000試合出場を果たした


 その遊撃から三塁にコンバートされたのが、昨季のシーズン終盤だった。坂本はまだまだ遊撃のレギュラーで活躍できる力を持っていたが、体に負荷がかかるポジションで故障による離脱が近年増えていた。プロ1年目の門脇誠が攻守で頭角を現していた背景もあり、中・長期的なチーム戦略を踏まえて遊撃に門脇を据え、坂本は守備の負担が遊撃より軽いとされている三塁に回った。

坂本不在で打線が機能


 攻守の中心選手として今年も三塁で活躍が期待されたが、思い描いた活躍ができない。62試合出場で打率.230、4本塁打、18打点。例年は不調の時期があっても修正して安打を重ねていたが、今年は打撃の状態がなかなか上向かない。勝負強さも鳴りを潜め、6月下旬に登録抹消に。打撃不振でのファーム降格は新人の07年以来17年ぶりだった。

 坂本が離脱したことで戦力低下が懸念されたが、捕手に岸田行倫、一塁に大城、三塁に岡本和が入る布陣でスタメンが固まり、打線が稼働している。昨年まで不動の正捕手だった大城は春先から攻守で試行錯誤を繰り返し、ファーム降格を味わったが、岡本のあとを打つ五番に定着。打順別で最も成績が良く、15試合出場で50打数18安打、打率.360、2本塁打、6打点をマークしている。

 スポーツ紙記者は、「好リードで投手陣を牽引する岸田の貢献度も見逃せません。坂本が三塁に入ることで、大城が捕手に入って岸田が外れてしまう。チームが最も機能する布陣を考えると、坂本を遊撃に戻す選択肢は検討する価値があります。門脇、泉口友汰との競争で勝ち抜いた選手をスタメンで起用する。遊撃は長年守り続けてきたポジションなので、練習や実戦を重ねれば不安はないと思います」と提言する。

 遊撃で一本立ちを期待された門脇は72試合出場で打率.216、0本塁打、8打点。5月下旬以降はスタメンから外れ、泉口と定位置争いを繰り広げている。坂本をどのポジションで起用するのが、チームにとって最適解か。V奪回のカギを握るテーマと言っても大げさではない。

写真=BBM
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