週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

昨季一軍出場なしも…際立つ野球センスでチーム引っ張る「元盗塁王」は

 

完全復活して大暴れ


好調な打撃でチームをけん引する高部


 首位・ソフトバンクを8ゲーム差で追いかけるロッテ。7月は9勝5敗と好調な戦いぶりを見せる中で、完全復活したリードオフマンの高部瑛斗が不可欠な存在になっている。

 2022年に盗塁王を獲得したが、昨年は故障に泣かされた。開幕前に右肩甲下筋肉離れで戦列を離れると、4月下旬には右肩甲下筋を損傷して胸郭出口症候群で復帰のメドが立たない状況に。9月に第一肋骨切除術を受け、一軍出場なしに終わった。復活を期した今年も開幕二軍スタートに。コンディションを整えることに集中し、5月18日に一軍昇格すると、巧みなバットコントロールと俊足で安打を量産している。

 44試合出場で打率.342、1本塁打、13打点。二塁打8本、三塁打2本という数字が表しているように、外野の間を射抜くパンチ力が相手バッテリーの脅威になっている。7月2日の日本ハム戦(エスコンF)では2回二死で金村尚真のカットボールを右翼席に運ぶ2年ぶりのアーチを放った。4日の同戦では1試合4安打の固め打ち。5回に右中間二塁打で二死二、三塁とチャンスを拡げ、小川龍成の逆転打につなげた。

 自慢の快足も大きな武器だ。12日のオリックス戦(ZOZOマリン)では、4回二死二塁で内角低めのフォークに窮屈な体勢で一塁に飛ばすと、全力疾走でベースカバーに入る相手投手・曽谷龍平を追い抜いて内野安打に。この間に二塁走者・中村奨吾が本塁生還した。先発左腕の小島和哉が7回無失点の快投で1対0の投手戦を制し、この一打が決勝打に。「緊迫したゲームでしたけど、小島さんに勝ちをつけられてよかったです。1日1日、全力で最高の熱い夏にしたいと思います」とファンに誓った。

タイトル獲得も課題を見つめて


 試合に出場し続ければ、結果を残す能力は証明している。プロ3年目の22年に137試合出場で打率.274、3本塁打、38打点、44盗塁をマーク。2位・周東佑京(ソフトバンク)の22盗塁に大差をつけて初タイトルを獲得した。目標にしていた40盗塁をクリアして大きな自信をつけたが、課題をきっちり見つめていた。失敗は10で盗塁成功率81.5パーセント。22年12月に週刊ベースボールのインタビューで、以下のように振り返っている。

「よく44も決められたなと思う部分もありますけど、『ここは走れたな』というケースもありました。目標にはしていましたけど、超えてからは50したい気持ちも出ていたんですよね。でも、届かなかったので。もっと数字を積み上げていきたいし、もっと増やしていけるとも思う」

「やっぱり疲れはたまっていましたし、よくできたというよりも、もっと失敗は減らせたんじゃないか、と。もっと成功率を高められたんじゃないかと思っているんです。失敗と言っても自分がミスをして、しっかりスタートが切れていないのに走ってアウトになったのであれば自分のせい。スタートを切れて、完璧に走れているのに、アウトになったのであれば、それは相手が上だっただけ。仕方ないと割り切ることもあるんですよね」

「僕の魅力の一つ」


 今季は6盗塁。決して多い数字ではないが、走らなくても塁に出ることで相手バッテリーに重圧を掛けている。高部は盗塁についてこう語っている。

「僕の魅力の一つです。足があってこそのプレースタイル。足がない打者はシングルヒットでもOKの考えもあると思いますが、僕の場合はシングルヒットでも相手はイヤだと思ってくれる。そういうバッターになるための僕の一つの魅力です。仮に走らなくても『走るかもしれない』と思われる存在であることが大事。行くときは行って、止まるときは止まる。盗塁を一つの魅力、武器としてやっていきます」

 勝負の夏場で盗塁を量産できるか。逆転優勝に向け、スピードスターの今後の活躍が楽しみだ。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング