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メジャー通算215セーブ右腕を彷彿…アメリカで高評価の「巨人の右腕」は

 

指揮官から揺るぎない信頼


チームに勝利を呼ぶ存在として欠かせないクローザーだ


 すごい球を投げている――。他球団の間で話題になっているのが、巨人の守護神・大勢だ。

 プロ3年目の今年は春季キャンプ中に右ふくらはぎ痛で出遅れると、開幕には間に合ったが、5月3日の阪神戦(甲子園)で登板中に右肩の違和感を訴えて戦線離脱。一軍復帰に約2カ月かかったが、復帰登板となった6月30日の広島戦(東京ドーム)でセーブを挙げると、7試合連続無失点と好投を続けている。この間に許した安打はわずか2本で、計10奪三振と圧巻の投球内容だ。

 7月16日の阪神戦(東京ドーム)では、1点リードの9回にマウンドに上がると、先頭打者の小幡竜平を156キロ、158キロ、158キロとすべて直球で3球三振に打ち取ると、代打・糸原健斗近本光司は140キロ台のフォークボールでバットに当てることを許さず三者連続三振。翌17日の同戦も1点リードの9回に登板し、一死一塁で坂本誠志郎を三ゴロ併殺打に仕留めて逃げ切った。

 今年から就任した阿部慎之助監督は、開幕前に大勢への揺るがない信頼を口にしていた。週刊ベースボールのインタビューで抑えについて聞かれると、「ケガで出遅れてしまいましたけど、シーズン全体を考えたときには大勢ですよね。やっぱり後ろがしっかりすれば、すべてが落ち着くので。逆算ではまっていく。後ろが不安定だと、チーム全体がガタガタと行ってしまうかもしれない」と重要性を強調していた。

独特なフォームから打者を抑える


メッツのクローザーとして活躍するディアス[写真=Getty Images]


 能力の高さは誰もが認める。1年目の2022年に37セーブをマークし、新人王を受賞。昨年は春先に侍ジャパンに選出され、準決勝、決勝に登板してWBC制覇に貢献した。スリークォーター気味の独特なフォームから150キロ台後半の直球、キレ味鋭いスライダー、落差の鋭いフォークでメジャーの強打者をねじ伏せる投球に、アメリカの球団スカウトが「エドウィン・ディアス(メッツ)と重なる。制球力が良いしトップレベルのリリーバーだと思う」と高評価を与えていた。

 ディアスはメジャーを代表する抑えとして活躍している。スリークォーター気味の位置からら投げ込むフォームから最速165キロの直球と縦に鋭く落ちる高速スライダーのコンビネーションで三振の山を築く。マリナーズ在籍時の18年に57セーブを挙げてタイトルを獲得。昨年はプエルトリコ代表で出場したWBCで準々決勝に勝った際、歓喜の輪で右足を負傷するアクシデントで長期離脱したため、シーズンは登板なしに終わったが、今年は復活して10セーブを記録。メジャー通算215セーブを挙げている。

レジェンド左腕が語るクローザーの難しさ


 野球は9回の3アウトを取るのが最も難しいと言われている。抑えを任せられる投手の重圧は計り知れない。現役時代に日本記録の通算407セーブをマークした岩瀬仁紀氏は抑えについて、週刊ベースボールのインタビューで以下のように語っている。

「抑えはチームの勝敗が直結するところですからね。勝っているゲームの最後を締める大事な役割。自分がチームの屋台骨を背負っているんだと、そういう気概を持って投げていました。自分は(プロ6年目に)中継ぎからの転向でしたが、抑えはやってみたいような、でも少し怖いような気持ちでいました。いざ(落合博満監督に)抑えをやれと告げられたときは、これは相当な覚悟を持ってやらないと務まらないぞと。責任がまったく違いますから。実際にやってみてそのとおりでした」

「中継ぎは自分の後ろがいる。でも抑えはいない。自分の代わりに投げてくれる投手はもういないし、いたらダメなわけです。また中継ぎのときは最後のアウトがどこか分からない。見当はついていても、投げていて『交代』と言われて初めて代わることができる。でも抑えは最後のアウトがはっきりと分かり、だからこそ難しい。その最後のアウト1つをどう奪うか。どうしても意識してしまうし、急いでしまう。自分の中ではそこを冷静に、落ち着いているように見せるのが難しかった」

 混戦が続くセ・リーグ。1つの白星に大きな重みがある。大勢は抑えでシーズンの最後まで完走できるか。巨人の命運を握るキーマンであることは間違いない。

写真=BBM
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