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真夏の祭典いざ開幕! 第95回都市対抗野球大会

【都市対抗】東京ドームに“佐竹ワールド”全開 貫禄の投球を披露したトヨタ自動車・佐竹功年

 

好リリーフで初戦突破に貢献


開幕戦で9回サヨナラ勝利。佐竹は試合後、スタンドの大声援にこたえた[写真=田中慎一郎]


【第95回都市対抗野球大会】
7月19日 東京ドーム
▽1回戦 トヨタ自動車1x-0沖縄電力

 東京ドームに佐竹ワールド、全開である。

 右翼席フェンス上部のリボンビジョンに「佐竹引退は7月30日以外ありえない! ベンチもスタンドも、みんなそう思っている! 頼むぞ野球部! 豊田章男」とのメッセージが表示された。

 7月30日は都市対抗決勝。史上6チーム目(7度目)の大会連覇で有終の美を飾ってほしいと、全社を挙げてのバックアップだ。トヨタ自動車・豊田会長からの熱き発信だった。

 沖縄電力との1回戦。貫録の投球を披露した。

 0対0の9回表二死一、三塁で出番がきた。力投を続けていた先発・嘉陽宗一郎(亜大)から入社19年目・佐竹功年(早大)へのリレー。「本当によく頑張ってあそこまで投げてくれたので、エースの役目をしっかり果たしてくれたと思うので、その思いを受け継ぐだけだと思いました。そこに言葉はいらないかな、と」。救援した40歳のレジェンド右腕は、今大会限りでの現役引退を表明しているが、衰え知らず。最初の打者に四球を与え、二死満塁の絶体絶命のピンチも、次打者を一ゴロに仕留めた。超ベテラン右腕がトヨタ自動車に流れをもたらし、その裏、マスクをかぶる高祖健輔(環太平洋大)のサヨナラ打で決着をつけた。大会連覇へ好発進。トヨタ自動車は前回大会優勝のため、予選免除。最も難しいと言われる初戦を突破した。

9回表二死一、三塁から二番手としてリリーフ。四球で満塁としたが、気迫の投球を見せた[写真=田中慎一郎]


「今年は初めから、ああいう展開のああいう場面で、という話は、藤原(航平)監督から、コーチからも言われていたので、あそこで僕が抑えることが仕事だと思って、全うできて良かったです。これぞ開幕戦、都市対抗初戦。大事なところで準備はしていて、最後、紙一重でしたけど、勝てて良かったです」

 スタンドでは「大応援団」が大声援を送った。

「知り合いが160人ぐらい、たぶん、(香川県の小豆島出身)地元の友達に関しては、東京ドームに団体で来るのは今年が初めてだったと思います。本当にありがたいというか、遠いですし、お金もかかって、家族もあって、仕事もある中で、こうやって僕のために見に来てくれたのは本当にうれしいと思います。今日は登板できて、その姿を見せられたことは、小・中・高・大の友人が見てくれている中で登板できたのはよかったです」

「大人の本気」を見せる


9回表二死満塁からチェンジアップで一ゴロに仕留め、ガッツポーズを見せた[写真=田中慎一郎]


 昨年は全5試合で登板機会なく、2度目の都市対抗制覇を遂げた。切り札・佐竹を起用せずとも頂点に立つほど、トヨタ自動車の投手層は、充実していたのだ。社会人野球は11月開催の社会人日本選手権で、シーズンを終える。そこで、勇退選手は静かにユニフォームを脱ぐわけだが、功労者・佐竹には異例の待遇が用意された。1月に引退を発表。推薦出場する都市対抗が、男の花道に設定された。

 頂点まであと4勝。簡単ではない。豊田会長からのメッセージについて、こう語った。

「いや、恐れ多いですね(笑)。でも都市対抗はトヨタ、みんなのものですし、僕だけのものではないと思っているので……。でも、7月30日まで野球やりたいのはみんな持っていると思うんで……。会長の社命をしっかり胸に頑張りたいです」

「大人の本気」を見せるのが、都市対抗の醍醐味である。常日頃から佐竹は「おじさんパワーで頑張ります!!」と口にしてきた。40歳が文字どおり、東京ドームで自らの世界観をつくり、トヨタ自動車をけん引していく。
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