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真夏の祭典いざ開幕! 第95回都市対抗野球大会

【都市対抗】エイジェックの“象徴”高岡佳将「さらに隙のない選手を目指したい」

 

二番・二塁手に抜擢


エイジェックの新人・高岡は東京ドームで持ち味を発揮した[写真=福地和男]


【第95回都市対抗野球大会】
7月27日 東京ドーム
▽2回戦
日本通運7-1エイジェック

 第95回都市対抗野球大会9日目。第2試合では、1回戦(対日本製鉄瀬戸内)に3年ぶり2回目の出場でうれしい全国大会初勝利を挙げた創部7年目のエイジェック(小山市・栃木市)がベスト8を目指し、出場49回目の日本通運(さいたま市)に挑んだ。今季は25人の新人が加入し、若さを武器にして戦ってきたエイジェックの象徴とも言えるのが、1年目の高岡佳将(上武大)だ。

 エイジェックに入部した当初は社会人投手への対応に苦しみ「真っすぐの強さ。変化球のキレ。そして、一番はコントロール。制球が良く、甘いところにくるボールが少ないので、何カ月もヒットが打てませんでした」と高岡。そこで、コーチ陣の指導を受け「ライトや右中間など逆方向を狙ってスイングする練習を積み重ねてきました。それで体が開かないようになり、打ち損じが少なくなっていきまた」と徐々に調子を上げていった。

 シーズンが始まり序盤は途中出場が多かったが、5月のJABAベーブルース杯では全3試合に出場し、そのうち2試合は先発。大会通算で打率.500(8打数4安打)を記録すると、6月の都市対抗北関東2次予選では二番・二塁手に抜擢された。

 チームの指揮を執る難波貴司監督(東海大)は「上武大で高岡を指導していた谷口英規監督(東洋大)から『派手さはないけれど、食らいついて仕事をしてくれる社会人向きの選手』と言われていたのですが、まさにそのとおり。彼の姿勢には見習うべきところも多い、頼れる選手です」と評価。高岡も「打席ではヒットで後ろへつなぎ、ランナーが一塁にいるときはバント。二塁にいるときは進塁打。それが全部できて、ようやく試合に出場できる選手なので、自分のできることを最大限にやっています」と話す。

 これまで二番打者はほとんど経験がなかったそうだが、その起用もうなずけるところだ。北関東地区予選では「二番打者の難しさはありますが、与えられた役割をまっとうできれば」という思いでプレーし、打率.385(13打数5安打)をマーク。チームとして初めてとなる第1代表の座を射止め「初めての予選だったので緊張しましたが、ホッとしました」と胸をなでおろした。

 同予選では同じ新人の片平吉信(城西大)とルーキーで一、二番のコンビを組んだが「片平はすごい。バットの使い方が上手くてキレイにバットが出てくる。一緒に練習することも多くて、よく情報交換をしているのですがバッティングの質が違います」とその実力を認めている。

「うまくいかないことが多かった」


 都市対抗1回戦では「二番・二塁」で先発出場した高岡。1打席目にきっちりと送りバントを決めると、3点を追う6回裏はイニングの先頭打者として相手のエラーで出塁し、一挙5点を挙げたチームのラッキーボーイとなった。続く第4打席はショートへ内野安打。大会前は「まずは1勝。自分ができることをしっかりとやってチームに貢献したい」と話していたが、有言実行でチームへ勝利をもたらした。

 日本通運との2回戦は六番で先発出場。「打順は関係ありません」と話すが、実は予選の後に調子を落としていたという。それでもひたむきに「逆方向を狙うバッティングを続けてきました」と高岡。第1打席はピッチャーの頭上をライナーで抜いていくクリーンヒットを放つと、第3打席はアンダースローの和田悠佑(富士大)に対し「思ったより球威があったので詰まらないように意識して打ちました」と三遊間を破り、2安打を記録した。

 チームは日本通運に1対7で敗れ「ヒットが勝利につなげられなくて悔しい。今大会はうまくいかないことが多かった」と唇をかんだ。その一つとして挙げたのが走塁のミス。2回裏、三塁走者だった高岡はセーフティースクイズの場面で小フライに飛び出して併殺となり「部員が多く、調子の良い選手から使っていくチームなので、こんなミスをしていたらレギュラーになれない。特に守備と走塁でミスがあると流れが変わるので、そこを鍛えてさらに隙のない選手を目指したいです」と反省を口にした。

「来年の都市対抗は全部、勝ちたいです」と抱負を語った。仲間であり、ライバルでもある多くのチームメートたちとの競争のなかで今後、さらに技術が磨かれていく。

文=大平明
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