週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

7連敗で正念場のDeNA…ドラフト6位入団で「秋山翔吾と重なる」新星に期待が

 

一番で出場機会を増やす


一軍で躍動感あふれるプレーを見せている梶原


 DeNAが優勝争いに踏みとどまるため、正念場を迎えている。7月31日の広島戦(マツダ広島)に2対3で敗れて7連敗。借金2となった。ただ、個々の選手の能力は高い。熾烈なレギュラー争いが繰り広げられているのが外野陣だ。佐野恵太桑原将志関根大気に加え、ドラフト1位・度会隆輝が新たに加入。蝦名達夫が5月から台頭し、侍ジャパンで四番を担った筒香嘉智もアメリカからシーズン途中に復帰した。筒香は左肋骨の疲労骨折で戦列を離れたが、安打を量産する新星が現れた。プロ3年目の梶原昂希だ。

 3年目の今年は開幕一軍をつかみ、4月下旬にファームで再調整となったが、1カ月後に再昇格すると、打撃で猛アピールしている。7月以降に一番に定着し、月間打率.361をマーク。前半戦最後のカードとなった19日からのヤクルト3連戦は3試合連続猛打賞で一気に打率を上げた。球宴をはさみ、後半戦も26日の巨人戦(横浜)で4試合連続マルチ安打を放つなどバットが振れている。44試合出場で打率.300、9打点、7盗塁は合格点をつけられる。

 身長189センチ、体重85キロの恵まれた体格から逆方向に長打を放ち、50メートル走5秒8の俊足で肩も強い。そのプレースタイルは柳田悠岐(ソフトバンク)と重なり、「ハマのギータ」と呼ばれる。尊敬する柳田に弟子入りする形で2年連続自主トレに参加。柳田のような走攻守三拍子そろった強打者に進化するのが理想形だが、他球団のスコアラーの見方は異なる。

「バットをムチのようにしならせて、コンタクトする能力が高い。初球からストライクゾーンの球をどんどん振っていけるのはタイミングの取り方がうまいから。外野の守備能力も高い。選手のタイプとしては柳田より秋山翔吾(広島)に重なります」

 秋山は西武在籍時の2015年に216安打でNPB記録を樹立。最多安打を4度獲得し、17年に首位打者に輝いたが、広角に安打を放つだけでなくパンチ力もある。17年に自己最多の25本塁打を放つなど3年連続20本塁打以上をマーク。メジャーを経て現在は広島でリードオフマンとして活躍している。

きつかった高校時代の冬のトレーニング


 梶原もリードオフマンとして大きな可能性を秘めている。大分で生まれ育ち、高校時代に甲子園出場は叶わなかったが、足腰を鍛えて身体能力を生かす下地を作った。週刊ベースボールでこう振り返っている。

「大分雄城台高時代の冬トレーニングはきつかったです。学校が少し丘の上で、駐輪場から校舎まで約100メートルの表坂と距離は短いけれど体感の角度が45度くらいある裏坂を10本ずつダッシュ。その後、朝は霜が降りていたグラウンドが昼頃には解けてぬかるむ中で、30メートルくらいタイヤを押して延々と往復。それが毎日。今までの人生で一番きつかったです。あとは、毎年恒例の砂浜50キロランニング。冬合宿を行っている場所の近くの海岸沿いに砂浜があって、そこの片道1キロの道のりを25往復。ほとんど一日かけて走ります。朝から自分のペースで走り続けて、途中からはもう走れないですけど歩いてでも前へ。もう二度とやりたくないと思うくらいきつかったです」

一軍初出場で猛打を発揮


 神奈川大で1年春からレギュラーをつかみ、1年秋に打率.400、2本塁打で首位打者を獲得。スケールの大きい打撃で注目を集め、大学日本代表候補に選出された。DeNAにドラフト6位で入団すると、新人での一軍デビューは鮮烈だった。4月12日の巨人戦(那覇)に「一番・中堅」でスタメン出場すると、3回に相手エース・戸郷翔征から右中間へプロ初安打初本塁打を放つなど4安打の大暴れ。新人で初試合に本塁打を放ったのは、黒木基康細川成也(現中日)に次ぐ球団史上3人目で、新人がデビュー戦で本塁打を含む4安打をマークしたのはNPB史上初の快挙だった。

 その後はファームで実戦経験を積み、昨年はイースタンで打率.338、チーム最多の98安打を記録。格の違いを見せて一軍で定位置獲りを狙ったが、8月22日の広島戦(横浜)の初回のフェンス際の守備でジャンプした際に負傷して交代。「右足関節靱帯損傷」で長期離脱となったが、今季は一軍で躍動感あふれるプレーを見せている。走塁技術の向上や、選球眼を磨くなど課題も多いが伸びしろは十分。大分県は源田壮亮(西武)、甲斐拓也今宮健太(ソフトバンク)、森下暢仁(広島)、内川聖一(元横浜、ソフトバンク、ヤクルト)ら球界を代表する選手たちを輩出している。梶原も大輪の花を咲かせられるか。

写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング