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【社会人野球】25年から活動再開する日産自動車のユニフォームが“青”になった理由

 

かつては“赤”のイメージ


2025年から活動を再開する日産自動車の新たなユニフォーム。左がビジター[四之宮洋介コーチ]で右がホーム[伊藤祐樹監督]である[写真=BBM]


 青か赤。決め手となったのは――。

 2025年から活動を再開する予定の日産自動車本社硬式野球部が8月1日、神奈川県横浜市内の同社で、ユニフォームを発表した。

 同社のコーポレートカラー、活動拠点である横須賀市の市章にも使われているブルーを基調としている。伝統も継承。2009年に休部前するまで、代々のユニフォームにも描かれてきた青い鳥の「ブルーバード」だ。野球部創部の1959年に発売した乗用車と同名。横須賀市の追浜工場で長きにわたり量産され「野球を通じて人々に幸せを届けたい」という思いと「横須賀市がホームタウンである」ことを表現している。バットをつかみ飛翔する青い鳥は日産野球部のシンボルであり、2つの赤い星は2度の都市対抗制覇を意味する。

 かつての日産自動車野球部のユニフォームと言えば、赤のイメージも記憶に残る。現場でも議論になったという。最終的に青に至った理由を、伊藤祐樹監督(福井工大)は明かす。

「過去に都市対抗野球(2度)と日本選手権(1度)で日本一になったときが青だったんです。赤のときは準優勝2回でしたので……。さらには『地域とともに戦っていく』という意図があります。横須賀線もそうですけど、横須賀市と言えば、横須賀ブルー。(サッカーJリーグの)マリノスも含め、(野球部と同年の2009年に)休部しましたが、日本選手権で4連覇した卓球部、ニューイヤー駅伝で優勝した陸上部も青。『強い日産スポーツ』は青を基調にしていました。野球部OBで集まる機会があったんですが、自作で制作したサンプルを披露した際にも、圧倒的に青の意見のほうが多かったです」

 ホームは白ベース、ビジターは青ベースを使用する。7月30日に閉幕した都市対抗期間中、来年入社予定の内定者20人が集まるタイミングがあり、この新ユニフォームが披露され、各選手は胸を躍らされていたという。

 8月3日。横浜スタジアムで行われるDeNA阪神戦で伊藤監督は日産自動車のユニフォームを着用して始球式を行うという。「日産復活」をアピールする絶好の機会である。

「(23年まで2年間、コーチとして在籍した)三菱自動車岡崎の都市対抗出場時の練習で打撃投手を手伝い、肩を痛めているんですが(苦笑)しっかり投げたいと思います」

 25年1月の活動再開に向けて、新入社員採用(22人のうち20人が内定)のほか、グラウンド、室内練習場、クラブハウス、住環境など、あらゆる準備を急ピッチで進めている。硬式野球部の「復活準備プロジェクト」には昨年、青学大野球部で主務を務めた新入社員の昆加奈子さんが新たに加わった。6月24日には硬式野球部の公式サイトも公開され、本格始動へ向けた機運は高まってきている。

 日産自動車には企業スポーツを運営していく上で、2つの目的がある。社員のエンゲージメントの向上、地域社会への貢献。日産自動車野球部は再び、社会人野球界の日本一を目指すため、全社一丸となって走り出した。

文=岡本朋祐
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