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巨人時代と別人? 新天地で抜群の安定感で輝く「技巧派左腕」は

 

移籍の助っ人が活躍するロッテ


先発として安定したピッチングを続けているメルセデス


 首位・ソフトバンクを追いかける2位・ロッテ。先発陣の柱として抜群の安定感を誇るのがC.C.メルセデスだ。

 後半戦最初の登板となった7月31日の西武戦(ZOZOマリン)で7回5安打2失点の快投。1カ月半ぶりの白星をマークし、「守備でも打撃面でも全員が素晴らしい活躍をしてくれたから勝てました」とお立ち台で感謝を口にすると、「ファンの皆さん、愛しています」と日本語で呼びかけた。大きな拍手が注がれると、穏やかな笑みを浮かべていた。

 来日したのは7年前の2017年にさかのぼる。育成選手で巨人に入団すると、18年シーズン途中に支配下登録されて22年まで6年間プレーした。左腕から繰り出す直球は140キロ台前半と目を見張る速さではないがキレがあり、スライダー、カーブ、チェンジアップを織り交ぜて抜群の制球力で凡打の山を築く。ただ、巨人では相手打線が2巡目となる5、6回につかまるケースが目立った。

 ロッテに移籍した昨年は22試合登板で4勝8敗1セーブ、防御率3.33。白星は伸びなかったが、ゲームメーク能力を評価されて今季も契約を更新した。春先から抜群の安定感で防御率1点台をキープしていたが、打線の援護に恵まれない。初白星は5月25日のソフトバンク戦(ZOZOマリン)で8回3安打無失点と完璧な投球だった。その後も先発ローテーションできっちり稼働している。16試合登板で3勝5敗、防御率2.52。14試合は6イニング以上を投げ切っている。監督推薦で初出場した球宴では1戦目に5回から登板し、2回3奪三振無失点の快投を見せた。

7月31日の西武戦ではソト[左]、ポランコ[中]とともにお立ち台に上がった


 他球団のコーチは、「巨人時代は技巧派のイメージが強かったが、ロッテに移籍して球威のある直球をストライクゾーンにどんどん投げ込むことで、変化球も生きている。巨人時代よりタフになり、別人の印象ですね。攻略が難しい投手であることは間違いない」と警戒を強める。

 メルセデスだけでなく、ロッテは他球団から移籍して活躍するケースが多い。同じタイミングで巨人から移籍し、昨季本塁打王に輝いたグレゴリー・ポランコやリードオフマンの岡大海、セットアッパーの澤村拓一DeNAから今季加入してリーグトップの65打点をマークしているネフタリ・ソトと「移籍組」がチームの核になっている。

個人を尊重する吉井監督


 就任2年目の吉井理人監督は開幕前に週刊ベースボールのインタビューで、以下のように語っていた。

「選手たちが明るく、伸び伸びとプレーしているように見えると言われることがありますが、そういうチームにしようと自分から意識しているわけではないです。プレーするのは選手。その選手たちがプレーしやすい環境をつくるのも自分の仕事の一つだと思っているので、そういった意味では意識していると言えますけど、特に『明るく、楽しく』という空気をつくろうという特別な意図はしていません。結果的にそうなっているとすれば、それは選手たちの個性じゃないですかね。もともと明るい子たちなので。僕は何も意識していないんです。とにかく、選手がやりやすい環境をつくろうとしているだけです。実際のところ、全員がやりやすいと思っているかどうかは分からないじゃないですか。そうじゃないと感じている選手がいたとしても、そういうことを言いに来ることもないでしょうから。何でも言いに来ていいとは言っているのですが、そこは分からないですね」

「野球は個人競技に近い部分もありますがやはりチームスポーツなので、チームワークを考えると個人の希望が通らないときもあるでしょう。そこをうまく折り合いをつけながら、選手がやると自分で決めたことを最大限尊重したいと思っています。それが監督の仕事です。もちろんプロ野球なので、勝たないと意味がありません。もうすぐペナントレースが始まりますが、言われるまでもなく今年の目標はレギュラーシーズン1位になって優勝することです。勝ってこそのプロ野球だと思うので、『どうしたら勝てるのか』ということを毎日一生懸命に考えて、やっていきたいと思っています」

 8月4日のオリックス戦(京セラドーム)で3対0と完封勝利を飾り、今季最多タイの貯金11。10ゲーム差で追いかけるソフトバンクの背中はまだ遠いが、勝ち続けることで重圧を掛けるしかない。メルセデスは先発陣の中心として左腕を振り続ける。

写真=BBM
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