週刊ベースボールONLINE

社会人野球リポート

佐竹功年“現役最後の投球” 「全早稲田戦」で先発登板 現役大学生に全力のメッセージ

 

40歳のレジェンド


全早稲田戦のレセプションパーティーで、今夏の都市対抗限りで現役引退したトヨタ自動車・佐竹があいさつした[写真=矢野寿明]


 まだ、夢の続きがあった。

 現役最後のマウンドは、最高の舞台が用意された。早稲田大学野球部と早稲田大学野球部OB会(稲門倶楽部)による真剣勝負「全早稲田戦」が8月10日、大原運動公園ベーマガスタジアム(新潟県南魚沼市)で開かれる。

 試合を翌日に控え、レセプションパーティーが南魚沼市内のホテルで行われた。稲門倶楽部を指揮する八木茂監督(鷺宮製作所ヘッドコーチ)は壇上でのあいさつで、トヨタ自動車の右腕・佐竹功年の予告先発を発表した。

「1イニング、投げてもらいます。最後、目に焼きつけてほしいと思います」

 佐竹は土庄高から進学した早大では2年秋、早大史上初となるリーグ4連覇メンバーだった。4年春はリリーフエースとして、優勝を決めた早慶戦のマウンドにいた。トヨタ自動車では入社19年目の今年1月、今夏の都市対抗限りでの引退を表明。沖縄電力との1回戦では0対0の9回表、ピンチで好救援を見せ、チームのサヨナラ勝ちにつなげた。都市対抗優勝2度、日本選手権優勝6度。社会人日本代表実績も豊富であり、40歳のレジェンドは社会人野球界トップを走り続けた。

 トヨタ自動車は都市対抗2回戦(7月25日)で三菱重工Westに敗退。佐竹の登板はなかった。試合後の会見で、感謝の思いがこみ上げ、大粒の涙を流した。あれから約2週間。本当のラストステージが用意されたのである。

「先日の都市対抗野球をもって、19年間の社会人野球の現役を終えました。これもひとえに稲門倶楽部のご支援、大学生のときにご指導いただいた小宮山(小宮山悟)監督のおかげだと思っております。今の早稲田の大学1年生が生まれた年ぐらいに、トヨタ自動車に入社しました。東京ドームで負けてからは一切、練習していないので、ストライクが入るかどうか心配です。大学生はストライクを全部、振るようにお願いします(苦笑)。今日の夜から、しっかりと準備したいと思います」

 佐竹は昨年の全早稲田戦でも、稲門倶楽部の先発を務めた。トヨタ自動車の元相棒・細山田武史(現コーチ)とバッテリーを組んで、1回を三者凡退に抑えた。

 壇上ではやや不安を口にした佐竹であったが実は、ポーズに過ぎない。勝負師の血が騒いだ。「三者連続三振を、目指していきたいと思います」。投手本能が、目覚めた。どんなメモリアルピッチを見せてくれるか。現役プレーヤーとして、最後のユニフォーム姿である。社会人野球のレジェンドは所作と行動で、現役大学生に全力のメッセージを送る。

文=岡本朋祐
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング