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全早稲田戦

全早稲田戦MVPは応援部 「秋は『チーム早稲田』のさらなる進化、集大成」

 

観衆を巻き込んで、スタンドを一つに


左から針山応援企画責任者[チアリーダーズ]、星野代表委員主将[リーダー]、武藤応援企画責任者[吹奏楽団][写真=BBM]


【全早稲田戦】
8月10日 ベーマガSTADIUM
早大9-3稲門倶楽部

 早稲田大学野球部と早稲田大学野球部OB会(稲門倶楽部)による「全早稲田戦」が8月10日、大原運動公園ベーマガSTADIUM(新潟県南魚沼市)で行われた。

 初開催された前年に続き2度目。昨年は早大OBの社会人選手でチーム編成された稲門倶楽部が21対2で勝利したが、今年は9対3で現役大学生チームが快勝している。

 スタンドを盛り上げたのは、約50人を現地へ派遣した早稲田大学応援部だ。この日の朝6時30分に東京出発。高速道路の渋滞で遅れ、到着はゲーム開始30分前だった。しかし、慌てることなく、速やかに準備を進め、試合前セレモニーでは国歌、早稲田大学校歌、南魚沼市歌を演奏し、式典を彩った。

 全早稲田戦。通常の応援と異なる点は、双方のチームにエールを送ることにある。1回表の早大攻撃、1回裏の稲門倶楽部の攻撃前には『紺碧の空』が演奏された。7回表と裏も校歌斉唱。言うまでもなく、ともに早稲田であり、休む間もなく、応援活動を繰り広げた。2時間47分。一塁内野席を拠点としながらもネット裏、三塁内野席まで足を延ばし、観衆を巻き込んで、スタンドを一つにした。

 星野聖敬代表委員主将(4年・早大学院)は言った。「神宮球場とは違った環境で、良い経験となりました。地元・南魚沼市の皆さんに、少しでも早稲田大学の応援を知っていただく機会にしたいと思っていました」。

 吹奏楽団の武藤瞭太応援企画責任者(4年・早大本庄)はスーザフォンを担当する。

「観客の方の記憶に印象に残る演奏を心がけました。早稲田のチャンスパターンでお馴染みの『大進撃』『コンバットマーチ』のほか、丁寧に演奏。野球も大事かと思いますが、一発目を意識しました」

 武藤応援企画責任者は高校時代、硬式野球部の左腕投手として甲子園を目指した。「大学で続ける実力はない。何ができるかを考えたとき、応援部だと確信したんです」。大学から楽器を扱う初心者だったが、血のにじむような努力を経て、神宮の舞台に立ってきた。

「現状維持は退化だと思っている。野球部は春秋連覇を目指している中、演奏も進化していかないといけない」と背筋を伸ばした。

ベーマガSTADIUMでは昨年に続き、早稲田大学応援部による華やかな応援が展開された[写真=BBM]


 チアリーダーズはスタンドのあちこちで、観客へ笑顔で積極的にアプローチ。針山たまき応援企画責任者(4年・洗足学園)は言った。

「場内応援と言うんですが、私たちが120%を出してこそ、初めて『応援しよう!!』と、観客の100%を引き出せると思っています。野球部の勢いに乗っかるのではなく、私たちが野球部の強さを引き出せるようにしたい」

 2024年の応援部のスローガンは「チーム早稲田」。リーダー、吹奏楽団、チアリーダーズが三位一体となって、野球部を後押しすることを追い求めている。「春はリーグ優勝という一つの結果を示すことができましたが、秋は『チーム早稲田』のさらなる進化、集大成です」。星野代表委員主将は背筋を伸ばした。南魚沼で心身ともにたくましくなり、帰京した。東京六大学野球と応援は運命共同体である。全早稲田戦のMVPは応援部。足を運んだ人ならば、誰もが認める大活躍だった。

文=岡本朋祐
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