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日本ハムの長距離砲に他球団が熱視線…「今オフに争奪戦」可能性が

 

数字以上に高い貢献度


力強いバッティングが魅力のマルティネス


 2022年から2年連続最下位に沈んだ日本ハムが、今年は快進撃を続けている。現在貯金13で2位の好位置をキープ。首位・ソフトバンクに10ゲーム差と背中は遠いが、2位でのCS進出が見えてきた。その立役者の一人がアリエル・マルティネスだ。

 中日から日本ハムに移籍した昨季は119試合出場して来日7年目で初の規定打席に到達。打率.246、15本塁打、66打点をマークした。チーム事情に合わせて捕手、一塁手、外野手、指名打者とさまざまなポジションを全うし、数字以上に貢献度は高い。フォア・ザ・チームに徹する助っ人は新たなシーズンに向けて決意を語っていた。

「今年は野手の外国人として新たにフランミル・レイエスアンドリュー・スティーブンソンが加入しました。2人ともメジャーでの経験が多くて、普段から強いスピリットを感じています。一緒にプレーしながら自分も彼らの技術を盗もうと思っていますが、3人のチームワークもいいですよ。勝利に向かって一致団結できているなと思いますね。加藤豪将さんもファイターズでは2人より1年先輩。自分たちのほうが相手投手のことをよく知っているので、こういう球を投げるとか、ベテランなのか中堅なのかとか教えてあげています。聞かれたことはすぐに返答していますね。みんなで打ちまくって、優勝のために活躍したいですね」。

球宴にもファン投票で選出


 開幕から「四番・一塁」でスタメン起用され、4月5日の西武戦(エスコンF)で延長12回一死満塁の好機にサヨナラの中犠飛。新庄剛志監督は「すごい仕事ですよ、犠牲フライって。もうヒット3本より価値のある打席だった」と賛辞を送っていた。同月17日のソフトバンク戦(エスコンF)では、2点を勝ち越された11回二死一塁で相手守護神のロベルト・オスナから左翼席に運ぶ同点2ラン。敗色濃厚だった試合を引き分けに持ち込んだ。打率はなかなか上がらず我慢の状態が続いたが、強引な打撃をしない。5月は月間打率.264だったが、出塁率.350をマーク。ボール球はきっちり見極めて次の打者につないでいた。

 球宴にもファン投票の一塁手部門で選出され、2年連続出場。後半戦はさらなる飛躍が期待されたが、打撃が上向かない。7月は打率.196、2本塁打、12打点で、8月も打率.179、1本塁打、5打点。一塁、DHはレイエス、清宮幸太郎郡司裕也野村佑希と強打者が切磋琢磨してチーム全体の選手層が厚くなっている。マルティネスは今月に入ってスタメン落ちが増えているが、いたし方ない。

キューバから中日に育成契約


 ここで心が折れるほどやわな選手ではない。今まで幾度も試練を乗り越えてきた。大きな覚悟を持ってキューバから中日に育成契約で入団したのが18年3月。21歳の時だった。週刊ベースボールのインタビューでこう振り返っている。

「キューバの若い選手は世界各国でプロになりたいという思いが強い。アメリカにはなかなか行ける状況ではないから、日本を含めたアジアでね。中にはキューバという国を捨ててアメリカに行く仲間もいたけど、自分はそういうことはしたくなかった。キューバという国が大好きだし、国を捨てることなどできないからね。そんなときにドラゴンズからオファーがあったんだ。迷わなかった。すぐに飛びついた。オファーがあればすぐに決断しなければならない。チャンスがあれば行こう、行きたいとは思っていたしね。ただ実際、日本のことをもっと知っていたら、いろいろと考えたかもしれない」

「あまり深く考えていなかったということだね。実際に日本に来てみて、キューバとの距離、言葉の壁、生活や文化の違いに戸惑った。家族と離れて過ごすことは、とても寂しいことだった……そういうことが分かっていれば、もっと悩んだかもしれないということだ。ただ最初は苦労したけどすぐに慣れたよ。同じ歳のライデル(ライデル・マルティネス)がいてくれたのは大きかった」

 他球団の編成担当は、「各球団で助っ人外国人がなかなか活躍できない中、マルティネスは日本で実績がある。戦力として計算できるのは大きい。今オフは獲得に興味を示す球団が当然出てくるでしょう」と高い評価を口にする。

 シーズンは残り30試合を切った。パリーグの優勝争いを盛り上げるためにも、マルティネスの打棒爆発に期待したい。

写真=BBM
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