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無敵のクローザー「R.マルティネスよりエグい」…驚異の安定感誇る巨人の右腕は

 

相手にとって攻略が難しい右腕


8月30日現在、リーグ3位の23セーブを挙げている大勢


 混戦が続くセ・リーグ。首位に立つ巨人で、替えの利かない存在が守護神の大勢だ。

 今季は33試合登板で1勝1敗23セーブ4ホールド、防御率0.87。5月上旬から6月下旬まで右肩の違和感を訴えて戦列を離れていた時期があったが、復帰登板となった6月30日の広島戦(東京ドーム)以降は22試合登板し、失点したのはわずか1試合のみ。投球内容も圧巻だ。

 8月21日の広島戦(東京ドーム)では、四番・末包昇大、五番・小園海斗、代打の田村俊介をいずれもフォークで空振り三振。新人の2022年以来2年ぶりの20セーブ目をマークした。28日のヤクルト戦(神宮)では1点リードの9回にマウンドに上がると、代打・西川遥輝をフォークで追い込んで最後は156キロ直球で3球三振。続く内山壮真をフォークで中飛、代打の切り札・川端慎吾をフォークで遊ゴロと9球で3者凡退に仕留め、入団3年目で澤村拓一(現ロッテ)に並ぶ球団記録5位の通算74セーブ目に到達した。

 他球団のスコアラーは、「150キロ台後半の直球、140キロ台のフォーク、スライダーと速さ、変化の鋭さがすごいだけでなく、きっちり制球されているので打てるボールがなかなか来ない。ちょっと次元が違うレベルです。中日の守護神・R.マルティネスよりエグい。打者は当てるのが精いっぱいでなかなか攻略が難しい」と脱帽する。

 大勢の凄さを物語るデータがある。今季は31イニング投げて41奪三振。奪三振率は11.90と1イニングに1つの三振を確実に取る計算だ。また、フォークをウイニングショットに持つが暴投が1つもない。岸田行倫ら捕手陣のブロッキング能力が高いと同時に、制球力の高さも裏付けている。

球団1位のセーブは角、クルーン


 球団1位のセーブ数は角盈男マーク・クルーンで93セーブ。クルーンは08年に41セーブをマークして来日初の最多セーブのタイトルを獲得している。この年はNPB最速の162キロを計測。61イニングを投げて91三振を奪い、奪三振率は13.42と大勢をしのぐが、落差の鋭いフォークの制球が乱れるケースが少なくなく、13暴投を記録。防御率2.21だった。

 クルーンは横浜(現DeNA)で84セーブ、巨人で93セーブを積み上げ、来日通算177セーブをマーク。これはデニス・サファテ(広島、西武ソフトバンク)の234セーブに次ぐ外国人2位の記録だ。現役引退後の17年に週刊ベースボールのインタビューでこう振り返っている。

160キロ超のストレートで優勝にも貢献したクルーン


「投手というのは、どれだけ速いボールを投げるのかじゃなくて、どれだけアウトを取れるかが大事なんだ。アメリカにはパワーのある打者がごろごろしているからね。ストレートの使い方もアメリカと日本では違っていたよ。というのも、私のストレートは日本のほうが通用しなかったんだ。日本の打者はバットがストライクゾーンに“残る時間”が長い。だから、たくさんファウルを打たれるし、空振りが取れずに球数が増える。私はそれが嫌だったからフォークを多投したんだ」

「(最も印象に残っている試合は)巨人に移籍した後だけど、2009年の札幌ドームでの日本シリーズ第6戦かな。2点差の8回からマウンドに上がって胴上げ投手になった。9回一死一、二塁では打席に三番の稲葉サン(稲葉篤紀)。札幌ドーム全体がイナバジャンプで揺れて、シンノスケのミットも揺れていたんだ。悪夢かと思ったよ。前年が日本シリーズで西武に負けていただけに、喜びはひとしおだったね」

 横浜でリーグ優勝を味わえなかったクルーンだが、巨人に移籍した08年以降に2度のリーグ優勝を経験。09年は1勝3敗27セーブ1ホールド、防御率1.26と安定感が最も高いシーズンとなり、日本ハムとの日本シリーズも4勝2敗で制し、7年ぶりの日本一に貢献した。

 大勢は入団以来チームが2年連続のBクラスとビールかけを経験していない。今年は4年ぶりのリーグ優勝で胴上げ投手となり、歓喜の瞬間をチームメートと味わえるか。緊迫感あふれる登板が続くが、絶対的守護神の活躍なくして頂点にはたどりつかない。

写真=BBM
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