ようやく定まった打撃フォーム

城西大・松川は一番打者として機能している[写真=大平明]
【9月7日】首都大学一部リーグ戦
城西大5x-4帝京大
(城西大1勝)
首都大学野球の2024秋季リーグ戦(一部)が9月7日にバッティングパレス相石スタジアムひらつかで開幕した。開幕ゲームは春6位から上位進出を狙う城西大が、春季リーグを制した帝京大と対戦。最後の最後までもつれた試合は城西大が5対4でサヨナラ勝ちし、好スタートを切った。
この試合で城西大の一番打者として先発出場したのが松川玲央(3年・関西高)だ。松川は1年春からレギュラーとして活躍し、1年秋は打率.484で二部リーグの首位打者を獲得。一部昇格した2年秋には打率.327。昨年12月には侍ジャパン大学代表候補強化合宿に招集されると、50メートル走で全体トップの5秒88秒をマークした。「高校時代はそこまで足が速くなくて、50メートル走は6秒3くらいでした」と明かす。
走力が上がったきっかけは、高校3年夏を終えてから。「まだコロナの影響があって練習を自粛していたのですが、やせてしまう体質なのでその期間に食トレをしたところ体重が10キロ近く増えたんです。そうしたら地面を蹴る力が強くなって、スピードが上がったんです」。城西大進学後、リーグ戦でも脚力を前面に昨春は9盗塁(二部)。昨秋は一部で8盗塁。そして、今春も8盗塁と2季連続で一部のリーグ最多盗塁を記録。打撃でも今春はリーグ5位の打率.350。二部を含め、1年春から5季連続で3割超えを果たしている。ベストナインも4季連続で受賞(1年秋、2年春は二部。2年秋、3年春は一部)。圧倒的な成績を残している松川だが、今季はバッティングフォームの修正に励んできた。
「昨年12月の代表合宿で中村優斗さん(愛知工大)と対戦したのですが、たまたま当たった感じのファウルしか打てなくて『これから上を目指していくには、150キロ後半のボールを打てるようにならなければ』と思ったんです」
現在のフォームは、この夏のオープン戦の後半にようやく定まったという。
「バットを肩に担ぐように寝かせておき、力を抜いてリラックスしておきます。それからピッチャーの動きに合わせてバットを縦に立たせてからスイングし、ヘッドを使うようにしています。このフォームにしてから課題にしていた長打も増えてきて、オープン戦では単打よりも多くなりました」
現在は78キロの体重を「80キロにしたい。スピードがどうなるのかは分からないのですが、やってみる価値はあると思っています」と現状に甘んじることなく、さらに上を目指してチャレンジを続けている。今年6月にも侍ジャパン代表候補合宿に参加し、貴重な経験を積んだ。
「攻守走すべてで評価されたい」
こうして秋の開幕を迎え、帝京大1回戦はノーヒットに終わったが「一番打者として3度、出塁できたのでチームとしては良かったと思います」と3つの四球を選び、6回裏は先制点につなげた。
城西大・村上文敏監督は大きな期待を寄せる。
「松川はずっとリーグ戦に出場している選手で、一番打者としての出塁など技術は評価しています。そして、2カ月後には今の4年生が卒業していなくなってしまいますが、そのときはチームの軸になってほしいので今からいろいろと声を掛けています」
今季は「チームとしては3位までに入って関東大会を勝ち上がり、明治神宮大会に出場して4年生を気持ちよく送り出したい。個人としてはまだ獲得できていない一部の首位打者にこだわり、(二部を含め)4季連続の最多盗塁とシーズンノーエラーで攻守走のすべてがそろっている選手だと評価されるようになりたいです」と高い目標を掲げた。
松川がリードオフマンとして打線をけん引する城西大。春6位からの下剋上を狙う。
文=大平明