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首都大学リポート

【首都大学リポート】「しんどいところは伊藤」指揮官から全幅の信頼を寄せられる日体大右腕・伊藤大稀

 

先発も救援もロングリリーフもOK


日体大・伊藤は2試合連続救援で勝ち点奪取に貢献した[写真=大平明]


【9月8日】首都大学一部リーグ戦
日体大2-1桜美林大(延長10回)
(日体大2勝)

 首都大学リーグ第1週2日目。桜美林大との開幕戦を逆転サヨナラ勝ち(3対2)で制した日体大。2回戦もロースコアの展開となったが、延長10回タイブレークの末に2対1で勝利。連勝で勝ち点1を挙げた。

 同点の9回裏からマウンドに上がり、2イニングを無失点に抑えて白星を手にしたのが伊藤大稀(3年・智弁和歌山高)だ。

 高校3年夏の甲子園。智弁学園高との決勝で先発を任されるなど、2試合に登板し全国制覇に貢献。伊藤の後を受けて胴上げ投手となった同級生のエース右腕・中西聖輝は、青学大で活躍している。日体大は同校の前監督・高嶋仁氏の出身校という縁もあって入学した。

「日体大はトレーニング施設が充実していますし、トレーナーの方もいらっしゃるので良い環境で野球をやらせてもらっていると感じています」

 1年秋にリーグ戦デビューを飾ると、昨春は救援として8試合登板で2勝。この夏はオープン戦で社会人チームと多く対戦してきた。

「結果が良いときも悪いときもあったのですが格上のバッターに投げることで自分の長所と短所が見えてきました。そして、自分の長所は四球が少ないことと、どの球種でもストライクが取れること。そこで長所を伸ばすためにすべての球種で投げ込みをしてきました。一週間で300球をめどに1カ月ほど投げ込みをしてきたのですが、これまでで一番、投げたと思います」

 ストレートはもちろん、カーブ、スライダー、ツーシーム、チェンジアップとすべての精度を上げてきた。しかも、「先発も救援もロングリリーフも、どのポジションでも投げられるのが自分の持ち味」と話しているように「最初は先発を想定し、バッターを立たせて投げ込み。最後の方はリリーフとしてピンチの場面で登板することをイメージしてキャッチャーとサインを交換しながらストレートと変化球を織り交ぜて投げてきました」と実戦を意識してきた。

 また、たくさん投げた分「自分は肩甲骨のあたりが張りやすいのでストレッチは多めにやっていますし、器具を使ったり湯舟につかったりして体をほぐしています」とケアにも気を使っている。

慣れている緊急登板


 今秋は開幕カードの桜美林大1回戦で4回からロングリリーフ。6回を投げて1失点の好投でチームの逆転勝ちを呼び込んだ。そして、この日の2回戦は先発の篠原颯斗(3年・池田高)が8回まで1失点に抑えていたが、9回の投球練習で足がつってしまって降板。この緊急事態に登板したのが伊藤大稀だった。

 古城隆利監督は「しんどいところは伊藤。ハートが強く、急にマウンドに上がることになっても普段通りのピッチングができる。低めにボールを集めて、緩急を使えるので信頼しています」と、その言葉通りの起用となった。

 伊藤は「緊急登板は高校時代から経験していますし、信頼されている証拠だと思っています。コーチの指示や自分の判断で準備は常にしていますし、消極的になったら負けなので『(登板機会が)来い、来い、来い』と思っています」と意気に感じているようだ。

 この試合でも「篠原とは同じ3年生で、試合前から『頑張ろう』と声を掛け合っていたのでその意志を背負って投げられました」と9回は3者凡退。延長は無死一、二塁からのタイブレークで、1点を勝ち越して迎えた10回裏は犠打で二、三塁とされたが、次打者はキャッチャーへのファウルフライ。申告敬遠で満塁策をとり、最後の打者はインコースのストレートでショートライナーに打ち取った。

 前日に続く連投だったが「疲れているとは言っていられないので必死で投げました」と早くも2勝目を挙げた伊藤。今秋の目標は「古城監督には1年生の時から使ってもらっているので、監督を日本一にして恩返ししたいです」と話している。日体大は大学として初の4連覇を目指した今春は、リーグ5位と力を出し切れなかった。この秋はV奪還へ、チーム一丸となって勝利をつかみにいく。

文=大平明
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