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優勝争いの中でファーム調整…巨人V奪回のカギ握る「先発の大黒柱」は

 

昨季は自身初の2ケタ勝利


現在は二軍で調整している山崎


 巨人が首位攻防戦となった9月22日の阪神戦(甲子園)で0対1の零封負け。先発の菅野智之が125球の熱投で8回7安打1失点と最後まで投げ切ったが、打線が再三の好機を生かせなかった。マジックは「6」のままで、2位の阪神は1ゲーム差に接近。23日の直接対決を含めて残り7試合で白星を重ねるしかない中、復調が期待されるのがファームで調整している山崎伊織だ。

 昨年は自己最多の23試合登板し、10勝5敗、防御率2.72をマーク。春季キャンプ序盤に右肘の違和感により戦列を離れ、一軍に昇格したのは4月中旬だったが先発ローテーションに定着した。7月は4勝0敗、防御率1.91で自身初の月間MVPを受賞。シーズン最終戦となった10月4日のDeNA戦(東京ドーム)で相手左腕・東克樹に投げ勝つ形で無四球完封勝利を飾り、自身初の2ケタ勝利をつかんだ。規定投球回数をクリアしたことも大きな自信になっただろう。クオリティスタート(先発投手が6回以上投げて、かつ自責点3以内)率は23試合中18試合で78.3%。エース・戸郷翔征の70.8%を上回った。

投球に深みをもたらしたフォーク


 山崎の投球に深みをもたらした球種がフォークだった。スライダー、カットボール、シュートと横の変化で勝負するイメージが強かったが、フォークの配分を増やしたことで相手打者は縦に落ちる軌道もケアしなければいけなくなった。野球センスが抜群で変化球を操る能力が非常に高い。登板を重ねることでフォークの精度が上がっていく。打者を打ち取る引き出しが増えたことで、安定感が一気に高まった。山崎は今季の開幕前の週刊ベースボールで、フォークがもたらすプラスアルファを認めていた。

「自分でもすごく大きかったと思いますね。あんまり得意なボールじゃなかったんですよ。スライダーやカットボール、シュートとか指に掛かる系は得意なんですけど、カーブやチェンジアップも含めて、抜くボールはあまり得意じゃなくて。それでも、フォークは試合で投げていく中で、いいイメージで投げられるボールが多くなっていきました。自分の中でどう投げているから落ち出したのか、いいボールが多くなったのかがしっかり分からないので、悪くなったときにどう修正するかが今後の課題です」

「どのボールが決め球というわけではなく、局面に応じてですね。フォークにしてもボール球にして空振りを取るのか、ゾーンに少し乗っけるのか、それくらいのイメージで投げているので。だから、いいフォークを投げられたことで、投球の幅が広がったという感じですね」

今季初の登録抹消


 戸郷翔征と共に先発の大黒柱として期待された今季は開幕から先発ローテーションで回り、前半戦は15試合登板で7勝2敗、防御率1.67。すべての登板が相手エースと激突するケースが多い週初めの火曜日だったことも価値がある。申し分ない活躍だったが、後半戦は2勝4敗で防御率5.30と痛打を浴びるケースが目立つように。1年間を通して先発で回るのは今年が初めてで、疲労が蓄積している影響は否めない。投球のメカニズムが狂っているように見えた。

 中9日と登板間隔を空けた9月13日のヤクルト戦(神宮)でも、本来の輝きを取り戻せなかった。直球に本来の球威がなく、生命線の制球も甘い。初回一死一、二塁から148キロの直球を村上宗隆に完璧に捉えられ、バックスクリーンに先制3ランを被弾。3回にも山田哲人に適時打を浴び、さらに二死二、三塁のピンチを招いたところで、阿部慎之助監督が投手交代を告げた。今季最短の3回途中7安打4失点KO。16人の打者と対戦して三振を1つも奪えなかった。2対7で敗れた翌日、今季初の登録抹消となった。

 シーズンがラストスパートに入る中で、山崎は復活できるか。戸郷、菅野が奮闘している中で、エースと呼ばれる投手を目指すならこの壁を乗り越えなければいけない。次回登板で2年連続2ケタ勝利を飾れば、チームにとっても大きな価値がある。V奪回のキーマンであることは間違いない。

写真=BBM
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