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中日の絶対的守護神が今オフに争奪戦か 「日本一のリリーバー」高評価が

 

自身2度目のセーブ王


今季のセーブ王を確定させたマルティネス


 直球と変化球の質、強靭な精神力、長期離脱せずに投げ続ける稼働率……。12球団で現役No.1の守護神であることに異論はないだろう。中日ライデル・マルティネスだ。

 9月29日の広島戦(マツダ広島)で1点リードの9回に登板すると、先頭打者の二俣翔一に右前打を許したが動じない。末包昇大を156キロ直球で遊ゴロに仕留めると、秋山翔吾に5球すべて直球を投げ込み、最後は遊ゴロ併殺打。自己最多43セーブを挙げ、自身2度目となる最多セーブのタイトル獲得が確定した。

 守護神に抜擢された2020年から5年連続20セーブをマーク。球団では岩瀬仁紀の11年連続に次いで史上2人目の快挙だ。22年に防御率0.97、昨年は0.39と驚異的な安定感を誇り、今季は自己最多の59試合に登板して1勝3敗、防御率1.11。以前は走者を出すと制球が乱れ、不安な表情を浮かべる時があったが、経験を積み重ねることでマインドコントロールがきっちりできている。

 最高のパフォーマンスを発揮するため、最善の準備を尽くす姿勢はナインのお手本だ。試合後にはウエート・トレーニングを必ず行い、試合を終えて2時間以上が経ってから球場を引き揚げることも珍しくない。「1試合、1試合、目の前の試合を投げていくだけなんだ。その日によって、真っすぐや変化球、調子の良し悪しはある。マウンドへ行くまでに自分を知って、その日のベストのパフォーマンスをしたいと思っている」と語る。今季限りで退任が決まった立浪和義監督は、「ライデルは自分のやるべきことをしっかりやりますよね。抜くことがない。相手チームに『この選手が出てきたら、点を取れないんじゃないか』と思わせることができる数少ない選手。チームには欠かせないです」と絶賛する。

来日当初はナイーブな面も


 来日したのは17年。当時中日の二軍監督で、現在は野球経論家の小笠原道大氏が週刊ベースボールのコラムで振り返っている。

「私が中日の二軍監督をしていたとき、彼は19歳で来日。当時はとてもナイーブな面を見せていました。キューバからやってきて、言葉も環境も野球も、何もかも違う。自分が19歳のころのことを思うと、とても考えられません。よく頑張って、今につなげたと思います。当時、担当していた高山郁夫投手コーチ、小川将俊バッテリーコーチがとても親身になって、彼に寄り添い、サポートしたことも大きかったですね。日ごと、年ごとに成長し、速球で押すだけでなく、メリハリのついたピッチングができる技術を身に付けました」

 193センチの長身から投げ下ろす直球は最速161キロを計測。力でねじ伏せるだけでなく、スプリット、スライダーの精度も高い。三振奪取率が高く、制球で崩れる心配がない。昨年は46回1/3で62三振を奪い、与四球はわずか4つのみ。今季は57回を投げて57奪三振と例年に比べると三振のペースが落ちているが、相手球団から見て攻略しやすくなっているわけではない。スライダーの配分を増やしたことで投球の幅が広がり、少ない球数で凡打に仕留めている。

ソフトバンクは抑えが不安要素


 今季が3年契約最終年。注目されるのはオフの去就だ。マルティネスはチームに溶け込み、名古屋の街を気に入っているが、契約についてはキューバ政府から「派遣」という形で中日でプレーしているため、来季の去就は本人の意思だけでは決められない。

 マルティネスを欲しくない球団はないだろう。複数球団の争奪戦になることが間違いない中で、気になるのがソフトバンクだ。守護神のロベルト・オスナが昨オフに4年総額40億円を超える大型契約を結んだが、来日3年目の今季は36試合登板で0勝3敗21セーブ5ホールド、防御率4.08。9月26日の西武戦(みずほPayPay)で2点リードの9回にマウンドに上がったが、4本の集中打を浴びて3点を失って救援失敗した。チームは春先から首位を独走して4年ぶりのV奪回を飾ったが、抑えが不安要素になっている。救援陣強化の観点で、マルティネス獲得を検討する可能性は十分にあるだろう。同じキューバ出身のリバン・モイネロが幼なじみで現在も親交が深いことでも知られる。

 中日も当然、全力で慰留する。絶対的守護神は来年どの球団のユニフォームを身にまとい、マウンドに上がっているだろうか。

写真=BBM
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