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4年ぶりV奪回で涙…巨人・岡本和真に「歴史に名を刻む四番打者」高評価が

 

チームへの貢献度は野手陣トップ


四番として出場し続けて優勝に貢献した岡本和


 巨人が今季最終戦となった10月2日のDeNA戦(東京ドーム)を、4対2と白星で締めくくった。4年ぶりのリーグ優勝を飾ったが、戦いはまだ続く。阿部慎之助監督は試合後のインタビューでCSファイナルステージに向け、「これからが本当の勝負だと思いますし、厳しい戦いが待ち受けています」とあいさつ。「僕たちはしっかり調整して最後の最後まであきらめることなく、日本シリーズに出て必ず日本一の報告をここでできるよう精いっぱい頑張ります」とスタンドに詰めかけた大観衆に誓った。

 選手たちも指揮官と思いは同じだろう。短期決戦で打線の核として期待されるのが、岡本和真だ。今季は全143試合出場で打率.280、27本塁打、83打点。球団史上3人目の7年連続30本塁打は達成できなかったが、チーム事情で一塁、三塁、左翼の3つのポジションを守り、全試合四番で打席に立ち続けた。スポーツ紙記者は「シーズンが佳境に入ると、岡本和の集中力が研ぎ澄まされていったように感じました。実際に9月は月間打率.355、6本塁打、18打点の好成績を残しています。吉川尚輝と共にチームへの貢献度は野手陣の中でトップですし、巨人の歴史に名を刻む四番になったと思います」と称える。

 普段は感情を表に出さない主砲だが、今年は変化が。阪神と熾烈な優勝争いを繰り広げたシーズン終盤に喜怒哀楽を露わにしていた。9月27日の中日戦(東京ドーム)では0対0で迎えた6回無死一、三塁の好機で、梅津晃大の151キロ直球を中前にはじき返す先制の適時打。一塁の塁上で声を張り上げると右腕を力強く振り下ろした。プロ通算1000安打目となったこの一打が決勝点に。リーグ優勝を決めた翌28日の広島戦(マツダ広島)でも3本の二塁打を放つなど、4安打3打点の大活躍。勝利で優勝が決まると、感情を抑えきれなかった。涙を流して坂本勇人、阿部監督と抱き合っていた。

レジェンドOBの思い


 球団OBの堀内恒夫氏は今年4月に週刊ベースボールのコラムで、岡本和に対する思いを語っていた。

「今年創設90周年を迎えた巨人の四番・岡本和真は、昨季、41本塁打を放ち、6年連続30本塁打以上と、3度目の最多本塁打のタイトルを獲得している。それでも、本塁打以外の93打点、打率.278という数字ではいささか物足りない。過去には2度、最多打点のタイトルも獲得しているが、昨季は得点圏打率が.233と極めて低かったことも課題として残る。しかも、今季から本格的に一塁への配置転換が決まった。三塁を守っていたとき以上に、打撃成績の向上が期待されることは間違いない」

「だから俺は、今季の岡本和には打撃タイトルを獲ること以上に、川上さん(川上哲治)、長嶋さん(長嶋茂雄)、王さん(王貞治)、落合(落合博満)、松井(松井秀喜)に続く、チームを『背中で引っ張る四番打者になれ!』と言いたい。それが今季の岡本和に課せられた最も大きな課題である。そして、岡本和が『真の四番』として覚醒すれば、阿部慎之助監督率いる巨人は新たな黄金期の扉を開くことができるはずだ」

2012年以来の日本一へ


 新たな黄金時代を築くため、目指すゴールは先にある。巨人が最後に日本一に輝いたのは2012年。現役でこの歓喜を味わった選手は坂本、長野久義の2人のみだ。その後は日本シリーズに3度出場しているが、13年は楽天に3勝4敗であと一歩届かず、19、20年はソフトバンクにシリーズ史上初となる2年連続4連敗の屈辱を味わった。岡本は18年からレギュラーに定着し、ソフトバンクに敗れた戦いを経験している。

 ソフトバンクは春先から首位を独走し、V奪回を飾った。共にCSファイナルステージを勝ち抜けば、20年以来4年ぶりの対戦が実現する。岡本はリーグ優勝後のビールかけの挨拶で、「1個言っていいですか? 阿部監督、今から泣いていると、日本一になったら失神しちゃうんじゃない? でも失神させにいきましょう!」とナインに呼びかけた。

 たくましくなった主将を先頭に、日本一を目指す。

写真=BBM
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