「好球必打」をテーマに

清原は試合後、ホームランボールを手に笑顔。14奪三振で4安打初完封勝利を飾り、ウイニングボールを手にした左腕・渡辺[左]とポーズを取った[写真=矢野寿明]
【10月7日】東京六大学リーグ戦第4週
慶大3-0東大(慶大2勝1敗)
慶大が今季初の勝ち点を挙げた。
1勝1敗で迎えた3回戦。4回裏に四番・清原正吾(4年・慶應義塾高)が左越え先制ソロ。5回裏には中前に適時打を放ち、2安打2打点と、チームの勝利に貢献した。
「(開幕から)2カード(立大、明大)を落として、残りのカードが落とせない状況の中で、四番としての役割。勝ち点を取るためだけに集中していました」
東大のアンダーハンド・渡辺向輝(3年・海城高)の初球のカーブを左翼席へ運んだ。「好球必打」をテーマにし、実践できた。
「1打席目の打席内容を振り返って、1打席で意識を変えて、2打席目に入りました。アンダースローの渡辺投手に対して、1打席目はこすってしまった内容だったので、上から上からを意識して、素直にバットを出していこうと。大きいスイングでなく、鋭いスイングを意識している。うまくヘッドが走ってくれたと思います。昨日、鈴木投手(太陽、4年・国立高)に苦しめられ、そこで帰った後、室内で練習して、今日のためにコンディションを合わせてこられたかな、と思います」
渡辺の父は、
渡辺俊介氏(元
ロッテほか、日本製鉄かずさマジック監督)。清原の父・
清原和博さん(元
西武ほか)とも親交があった。
「父がどうとかの意識はなく、オールスターで親睦を深めた仲なので、対戦を楽しみにしていました」

慶大・清原は先制ソロアーチを放った[写真=矢野寿明]
初本塁打を放った明大1回戦に続くリーグ戦通算2号。同1回戦では1点を追う9回裏、カットボールを同点ソロ(プロ併用日のため、9回打ち切りで引き分け)。慶大・堀井哲也監督はスタンドインの要因を語る。
「変化球に崩されなくなった。春はまだストレート系ならばいけるな、というところがありましたが、変化球でピタッと止まるようになったので、これはもう、ある程度のボールは、甘くくればいけるなと思いました」
NPB通算525本塁打の父・和博さんからのメッセージを、いつも心の中に秘めて、打席に立っている。
「リラックス、リラックス。楽しんでセンター返し」
清原はプロ志望届を提出しており、10月24日にはドラフト会議が控える。慶大でのリーグ戦の残るは、法大戦と早大戦である。
「大学野球生活も残り2カードというところで、自分のすべてをかけて、全力で戦い抜きたいと思います。緊張はしても、ここまで真剣にやってきたと言い聞かせて、あとはバッターボックスに入ったら、楽しむだけだと思っているので、そこは良いマインドチェンジができていると思います」
神宮球場で何を見せるか。
「自分の役割と、チーム全員で勝つ姿です」
背番号3は4年間、慶大で学んだ「エンジョイ・ベースボール」を体現するだけである。