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ファームで打率.211も大化けの予感 他球団が熱視線送る「左の長距離砲」は

 

DeNAに途中入団


ファーム日本選手権で豪打を見せたフォード


 助っ人外国人の活躍はチームの命運を大きく左右する。今季4年ぶりのV奪回を飾った巨人はシーズン途中に入団した エリエ・ヘルナンデスと ココ・モンテスが起爆剤となり、大きく貢献した。一方で阪神広島は助っ人外国人野手が稼働せず、明暗が分かれる形となった。

 今オフは日本ハムの フランミル・レイエスの去就が注目される中、この助っ人も他球団が獲得に動くかもしれない。DeNAの マイク・フォードだ。

 メジャーでは昨年にマリナーズで打率.228、16本塁打、34打点をマーク。選球眼の良さにも定評があり、出塁率.323と打率より1割近く高かった。今季はレッズで17試合出場にとどまったが、マイナーでは24試合出場で打率.297、6本塁打、15打点を記録している。5月末に自由契約になり、DeNAに7月に加入。故障が多いタイラー・オースティンのバックアップという位置づけで一軍昇格すると、7月27日の巨人戦(横浜)で左腕・井上温大から来日初アーチとなる右越えソロを放った。だが、オースティンの一軍復帰に伴い1週間も経たず登録抹消に。一軍再昇格は叶わず。6試合出場で打率.200、1本塁打、2打点に終わり、イースタン・リーグでは41試合出場し、打率.211、8本塁打、21打点だった。

ファーム日本選手権で2発


 助っ人外国人としては物足りない数字だ。だが、左の長距離砲で打球を飛ばす能力は目を見張るものがある。その力を示したのが、10月5日に宮崎サンマリンで開催されたファーム日本選手権だった。

「6番・指名打者」で先発出場すると、6回無死一塁で相手左腕・三浦瑞樹のスライダーを右翼席中段に運ぶ特大の2ラン。続く7回も右腕・中村亮太のカーブを振り抜くと、打球は右翼へ。最初はインプレーの判定で三塁まで全力疾走したが、その後に審判団が協議して本塁打に。2打席連続アーチでダイヤモンドを一周すると、お辞儀ポーズで迎えたナインに笑顔で頭を下げた。この2発が大きな追加点となり、チームは初優勝。優秀選手賞を獲得した。

 他球団のスコアラーは、「大化けする可能性を秘めた選手だと思っています」と評価する。

「打撃が柔らかいので変化球に対応できる。打率が低いのはすべての球を引っ張ろうとするから。プルヒッターなので打撃のスタイルを変えるのは難しいかもしれないけど、外角の球を逆方向に打てるコツをつかめば、ヒットゾーンが広がるし打率も大きく上昇する。阪神で活躍したクレイグ・ブラゼルと重なります」

日本で飛躍したブラゼル


西武、阪神、ロッテでプレーし通算133本塁打を放ったブラゼル


 ブラゼルは左の長距離砲としてマイナーで活躍していたが、メジャー通算1本塁打と目立った活躍ができず、2008年に西武に入団。打率.234、27本塁打、87打点をマークした。同年限りで退団し、09年のシーズン途中に阪神に入団すると、打撃改造が大きな転機になる。極端なプルヒッターだったが、当時の和田豊打撃コーチ(現二軍監督)の助言で逆方向にも本塁打を放つようになると、大輪の花を咲かせた。10年は打率.296、47本塁打、117打点をマーク。打撃タイトル獲得はならなかったが、助っ人外国人で1986年に記録したバース以来24年ぶりに40本塁打を記録した。その後はロッテでもプレーし、来日通算133本塁打をマーク。牛丼が大好物で、ロッテ時代は「ブラゼルパワースタミナ牛丼」が発売された。
 
 DeNAは今年来日初の首位打者を獲得したオースティンが守る。主に一塁を守るフォードが来季の戦力構想に入るか微妙な状況だ。ただ、他球団を見渡すと、一塁のレギュラーを固定できていないチームが少なくない。パ・リーグは指名打者制度のため起用法の幅が増える。DeNAを退団することになれば、日本野球に適応できる能力が高いと判断して獲得に乗り出す球団があるかもしれない。

 10月12日からCSファーストステージが開催される。3位のDeNAは阪神戦(甲子園)で下克上を狙う。フォードはファーム日本選手権のアピールが実り、メンバー入りできるか。

写真=BBM
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