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【大学野球】4年生と1年生の力が融合して東大に先勝 奇跡の逆転優勝へ勝利のみに集中する法大

 

1年生が先勝に貢献


東大1回戦に二番・二塁で先発した法大・熊谷は、4安打3打点と先勝に貢献。写真は7回裏の右中間三塁打[写真=矢野寿明]


【10月12日】東京六大学リーグ戦第5週
法大16-0東大(法大1勝)

 初々しい1年生である。

「何としても、先輩を勝たせる」

 二番・二塁で先発出場した熊谷陸(1年・花巻東高)は4安打。リーグ戦初打点を含む3打点で、東大1回戦での先勝に貢献した。

 花巻東高から法大野球部に入部するのは初。昨夏の甲子園で8強進出し、スタンフォード大に進学した佐々木麟太郎と同級生だった。

「時々、連絡をしている。勇気をもらっているので、頑張れています」

 この日は花巻東高の先輩であるドジャース・大谷翔平がパドレスとのディビジョン・シリーズ第5戦で勝利し、リーグチャンピオンシップシリーズ進出を決めた。

「すごい活躍をしている。そのような選手になれるように、頑張っていきたい」

 熊谷は1年春の東大2回戦でリーグ戦デビュー(遊撃の守備)し、今秋は開幕カードの立大1回戦を二番・二塁で初先発を遂げ、初安打を放った。立大3回戦は九番、早大1回戦は八番で先発。東大1回戦は開幕以来の二番だった。「三、四、五番に良いバッターがいるので、つないでいくことを考えました」。

法大の1年生・熊谷[左]は試合後、自身初の1試合4安打を示すポーズ。7回無失点で勝利投手となった先発・篠木[右]は、後輩の活躍を称えた[写真=矢野寿明]


 東大戦を迎えるまで、5試合で3安打(10打数)を記録していたが、なぜ、自身初の1試合4安打をマークできたか。法大・大島公一監督は明かす。

「守りが良いですし、しぶとい。ボールを長く、見られる選手です」

 熊谷は言う。「大島監督から逆方向に打つように指示を受けました。(右肩を)開かずに、ショートに打つイメージです」。コンパクトな振りで7回裏には、右中間三塁打を放った。

「負けられない試合が続く。先輩方を勝たせられるように、つないでいきたい」

 なぜ、ここまで上級生のためにプレーするのか。試合後の会見には、7回無失点でリーグ戦通算13勝目を挙げた157キロ右腕・篠木健太郎(4年・木更津総合高)がいた。エース・篠木を勝たせたい率直な思いを聞いた。

「立教戦(3回戦)の最終回の先頭打者でエラーをしたんですが、その後、2者連続三振(二死から左飛で4対2で勝利)。とても、頼もしく思います」。一瞬の間があった。2学年上の先輩を横にしての発言に、報道陣の笑いを誘った。篠木は「ゲームになったら頼りになるんですが、普段は抜けているところがあります。たまにボロが出ますが、カワイイ後輩です(苦笑)」と度量が広い。

 法大は東大戦を迎えるまで、2勝3敗2分けの勝ち点1。2020年春以来のV奪還には、現実的に一つの負けも許されない展開が続く。

「優勝を目指していて、わずかな望みを実現させるには6連勝。その1勝目をつかむことができた」(篠木)。10月24日にドラフトが迫るが「目の前の試合に向かって頑張ることでしか、自分でコントロールできない」と、あくまでもチームの勝利に専念。その結果が、ドラフトでの評価につながると信じている。

 4年生と1年生の力が融合して、東大に先勝。奇跡の逆転優勝へ、勝利のみに集中する。

文=岡本朋祐
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