つかんだ飛ばす感覚

法大の四番・松下は明大2回戦で先制ソロ。リーグ単独トップの5本塁打とした[写真=矢野寿明]
【11月4日】東京六大学リーグ戦第8週
明大6-4法大(明大2勝)
四番の風格が出てきた。法大・
松下歩叶(3年・桐蔭学園高)は2回表、先頭打者で左越え先制ソロを放った。リーグ単独トップとなる今季5号である。主砲の一発で勢いづいた法大だったが、シーソーゲームを落とした。
この明大戦で連敗した法大は6勝6敗2分け、勝ち点3の3位でシーズンを終えた。右の強打者・松下はキャリアハイとなる打率.352、5本塁打、13打点と飛躍した。
シーズン5本塁打は昨春の慶大・
廣瀬隆太(
ソフトバンク)以来。勝ち点制が復活した2022年春以降では同春の
萩尾匡也(
巨人)を含めて、松下が3人目である。
「ホームランは狙ってはいませんが、飛ばす感覚をつかんだのはあります」
今夏は侍ジャパン大学代表に初めて選出され、2つの国際大会で優勝を遂げた。米国とのハーレム・ベースボールウィーク(オランダ)との決勝では逆転2ラン。この秋を経て、右のスラッガーとしての立場を確立した。フルスイングの中でも力が抜け、ボールをバットに乗せるセンスに長けている。コンタクト力に加えて、ミート力が高いのだ。

この秋を通じて、打球を飛ばすコツをつかんだという。今春も2本塁打を放っており、年間7本塁打。最終学年も量産が期待される[写真=矢野寿明]
今秋以降の新チームでは、主将が有力視されている。松下もリーダーとしての自覚を持って、この1年を過ごしてきた。法大は早大に2敗1分け、明大に2敗と、上位2チームに力及ばなかった。大きな実力の差はないが、勝ち切る力には大きな差があると感じている。
「強いチームが勝つのではなく、勝ったチームが強いんです」
活動拠点の法大グラウンド、オープン戦で思い描いたパフォーマンスが発揮できるのは、当然のこと。いかにプレッシャーがかかった場面で、結果を残せるか。松下は日頃の練習からより一層、重圧をかけていきたいという。
3年秋のシーズンを終え、すでに視線は来春へと向けられている。強打の三塁手として2025年、ドラフト戦線もにぎわせそうだ。
文=岡本朋祐