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下克上から日本一のDeNA 黄金時代構築へ「FA補強」に参戦可能性が

 

セ3位から頂点へ


チームを26年ぶりの日本一に導いた三浦監督


 見事な下克上だった。レギュラーシーズンは3位で終わったDeNAがくらいの(CS)で阪神巨人を撃破すると、日本シリーズでソフトバンクに2連敗スタートから4連勝で日本一に輝いた。第6戦で11対2と快勝し、大歓声の横浜スタジアムで胴上げへ。宙に5度舞った三浦大輔監督は「いろいろな思いがね……。98年に優勝してからそのあと、なかなか勝てずに……。自分ももう一度って気持ちで。現役のときは優勝できずに、監督として優勝できて、本当にうれしいです」と優勝監督インタビューで声を張り上げた。

 正捕手の山本祐大が9月中旬に右尺骨骨折で離脱。エースの東克樹は阪神と対戦したCSファーストステージで左太もも裏肉離れにより緊急降板し、四番のタイラー・オースティンも日本シリーズ第1戦で左足の甲に自打球を受けた。第3戦以降に強行出場したが歩くことすらままならない状況で、文字どおり満身創痍だったが、チームは試合を重ねるたびに強くなっていった。

 ファンの後押しにも支えられた。本拠地の横浜スタジアムだけでなく、敵地のみずほPayPayドームでも大声援が。DeNAは前身の横浜時代にさかのぼり、2000年代前半から低迷期が続いていた。三浦監督は横浜一筋で25年間プレーし、奮闘していた。現役引退する16年に3位に躍進した際、「やっと横浜DeNAベイスターズがいいチームになっただろとみんなに自慢できます」と語っていた。今年8月に週刊ベースボールのインタビューで、8年前の言葉の真意を語っている。

「そのときに言った言葉は今でも覚えています。僕自身いろいろな経験をしてきた中で、横浜から去っていく選手もたくさん見ましたし、以前は横浜に行きたくないという選手の声も聞きました。最下位の常連のような時期も経験しましたし。それが球団、選手、スタッフ、コーチ、みんなが変わってきて、他球団の選手からも横浜に行きたいという言葉が聞こえてくるようになって良かったなという思いでした。そして、引退後にチームへ戻ってきてからはさらに良いチームにしたい、強いチームにしたい、優勝したいという思いがまた強まりました。当然、今でもその気持ちは強く持っています」

投手陣補強の必要性


 今季はレギュラーシーズンで貯金2の3位から短期決戦で頂点に上り詰めたが、来季はリーグ優勝を狙う。現有戦力の底上げと共に、注目されるのがFA補強だ。今季のチーム防御率3.07はリーグ5位。長いシーズンを勝ち抜くには、先発、救援共に層を厚くする必要がある。

 今オフは国内FA権の行使を発表した石川柊太(ソフトバンク)のほか、先発投手は九里亜蓮(広島)、西野勇士(ロッテ)、救援は酒居知史(楽天)が補強ポイントにマッチする。また、手薄な内野陣の層を厚くする意味では高橋周平(中日)がFA権を行使した場合は、獲得を検討する価値があるだろう。三塁の守備能力が高く、打撃でも今季は復調の気配を見せていた。高橋周は神奈川県藤沢出身で、DeNAは地元球団となる。人気面でも大きなプラスアルファになるだろう。

チームの力になるFA選手


これまでDeNAはFAで久保[写真]ら9選手を獲得している


 球団は過去に9選手をFAで獲得している。印象深いのが2人の選手だ。巨人から93年オフにFA移籍した駒田徳広(現巨人三軍監督)は広角に安打を放つ打撃と球界トップクラスの一塁守備に加え、精神的支柱としてもチームを支えて98年のリーグ優勝、日本一に大きく貢献した。阪神から13年オフにFAで加入した久保康友は先発の柱で活躍。移籍1年目の14年に28試合登板で12勝6敗、防御率3.33をマーク。最多勝にあと1勝足りなかったが、リーグ3位の178回1/3を投げた。

 4年ぶりのリーグ優勝を飾ったがCSクライマックスシリーズで敗れた巨人、藤川球児新監督が就任した阪神など他球団も来季に向けて戦力を整えてくる。マークが厳しくなる中でDeNAは黄金時代を構築できるか。今オフの補強策が注目される。

写真=BBM
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